
スケートボード女子パークは、くしくも東京大会に続いて日本人の母を持つ選手が表彰台を独占した。中心にいたのは14歳のアリサ・トルー。父サイモンさんの母国、オーストラリアを代表して五輪の舞台に立った。
2本目を終えた時点で3位だった。最後のラン。金メダル候補とされた前評判通りに高難度の技を何本も成功させ、トップに躍り出る。後に滑った宮崎県出身のスカイ・ブラウン(英国)と、開心那は上回れなかった。豪州勢として最年少の金メダル。「初めて出た五輪で勝てて、信じられない」。驚きを隠せなかった。
母の愛子さんによると「愛理沙(ありさ)」の漢字名もある。「みんなに愛され、いろんなことを考えられる子になってほしい」。自身の名前から一文字を取り、そう願いを込めたという。
サイモンさんはサーフィンをしていたが、冬の海は水が冷たいからという理由でスケートボードに親しむように。そして娘は、「たくさんお友達をつくって、楽しくスケートボードができたらいいな、くらいで始めた」と愛子さん。楽しさが高じ、試合にも出るようになった。今でも練習というより、友達と遊んでいる感覚が強いそうだ。
開、ブラウンと並び、楽しそうに受け答えした記者会見の様子はまさに愛される存在だった。好きな日本語を聞かれ、「『かわいい』です。言いやすいのもいい」。笑みを振りまいた。
時事通信