
「転校生」「時をかける少女」などで知られ、独特の映像表現で日本映画に新風を吹き込み続けた映画監督の大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)さんが10日午後7時23分、肺がんのため東京都内の自宅で死去した。82歳だった。広島県尾道市出身。葬儀は近親者のみで行い、後日、お別れの会を開く。喪主は妻で映画プロデューサーの恭子(きょうこ)さん。
幼少時から映画に興味を持ち、1977年、「HOUSE ハウス」で劇場映画デビュー。82年には故郷の尾道を舞台にした青春映画「転校生」が大ヒット。「時をかける少女」「さびしんぼう」とともに後に「尾道三部作」と呼ばれた。
他にも「ねらわれた学園」などのアイドル映画から、「廃市」「異人たちとの夏」「漂流教室」などさまざまなジャンルの作品を世に出した。
2007年には舞台を尾道から長野に移してリメークした「転校生―さよなら あなた―」を監督。近年も地方を舞台に戦争への思いを込めた「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」を手掛けた。
16年に肺がんが見つかり、闘病しながら「花筐/HANAGATAMI」を撮影。昨年は遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」を完成させていた。
19年文化功労者。
JIJI Press