Amin Abbas Dubai

アラブ首長国連邦（UAE）のFadel Saeed AlMuhairi監督による長編アニメーション映画『キャッツアウェイ（Catsaway）』は、家を持とうとする野良猫たちの物語、発展する1990年代のUAE、首長国アブダビを舞台とする。

本作はコンピューター・グラフィックスを用いない伝統的な手描きのアニメーションでビジュアルは昔ながらのそれだ。

本作の監督は次のように述べる。「『キャッツアウェイ』のアイデアはTVシリーズのためのパイロット番組として始まり、野良猫とひとりの人間の少年が登場します。猫を撮影する難しさ（実写/CG）に気づいた私は、野良猫のストーリーを語ることにしました」

UAEのFadel Saeed AlMuhairi監督

「野良猫の目を通して、愛する都市アブダビでの私の子供時代を語るのがアイデアの中心です。作品の舞台は2000年初頭で、多くの人たちに愛されながら都市の発展とともに消えていったボルケーノの噴水やオールドスークのような古いランドマークが登場します」とAlMuhairi監督は述べる。「本作はスリル満点の冒険物語で、予想だにしない場面でさまざまなサプライズが猫たちを待ち構えています」

AlMuhairi監督は、日本のアニメーションへの愛にインスピレーションを得て本作を創ったのだという。子供のころに観たアニメーションを「生き生きとしたエンターテインメントで、想像力を掻き立てる純粋な触媒」だったと語る。

「『宝島』と『未来少年コナン』が当時の私のお気に入りのアニメシリーズでした」

AlMuhairi監督は、日本文化にある「アイデンティティや文化、伝統や歴史への愛情」から大きなインスピレーションを得たという。

作品のアイデアを固定することが作品制作における最初のチャレンジだったAlMuhairi監督は語る。

「第2のチャレンジは、アニメ制作の予算を集めるためにストーリーを売り込むことでした。私が望む捻りを加えつつ伝統的なアニメーションのスタイルを実現できるスタジオを見つけることが第3のチャレンジでした」

「『キャッツアウェイ』は、制作準備が昨年の初めに正式に開始され、現在、制作段階です。本作は、伝統的なアニメーションのスタイルにより郷愁を誘う心温まるストーリーをつづります」とAlMuhairi監督は付け加えた。

これまでに寄せられている作品への意見は好意的なものであり、誰もがアニメーションの公開を待ち望んでいるのだと同監督はいう。

AlMuhairi監督は、中東地域の外の観客にこの映画を楽しんでもらい、「UAEのアニメーションが創造性と才能に恵まれている」ことを理解して欲しいと考えている。

『キャッツアウェイ』はポーランドのJuice Studiosの協力を得てTent Pictures Productionsにより制作されている。1年間にわたる制作準備を経た現在、手描きされた個々のコマがAlMuhairi監督のクリエィティブな目の下で繋ぎ合わされている。監督には、2014年ドバイ国際映画祭（DIFF）でMuhr Emirati賞にノミネートされた『Abood Kandaishan』などの作品がある。

Tent Picturesは2013年、twofour54においてMohamad M. NumanとMohamad Jawadの協賛を得てAlMuhairi監督が創設した。同プロダクションはすでに何本かの作品を制作いるが『キャッツアウェイ』はその最大のプロジェクト。

AlMuhairi監督は現在、次のプロジェクトを手掛けている。「未来派の小説」が題材で、「社会が荒廃した遠い未来のアラビア半島が舞台で、疫病の大流行が半島を蝕むなか、独立心旺盛で強情かつ知的な若いヒロイン、砂漠の『清掃人』を巡って物語が展開します。秘密を求めて反政府活動を行う彼女は、秘密のカルト集団が何千年にもわたって守ってきた神聖な秘密を発見します」