

山川宏・宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長は、世界経済フォーラム(WEF)のパネル「Thriving in Orbit(軌道上での繁栄)」で講演し、宇宙探査と持続可能性に関する日本の野心的な目標について概説した。
山川理事長は、研究、資金提供、国際協力を通じて日本の宇宙産業を発展させることの重要性を強調した。
「宇宙へのアクセスを強化し、国際競争力を高め、宇宙の持続可能性と経済性を確保する。これらの目標は、研究開発から衛星やロケットの運用に至るまで、JAXAの活動の指針となっている」
山川氏はまた、宇宙と宇宙以外の産業のイノベーションを促進することを目的とした新しい資金調達メカニズムである宇宙戦略基金を紹介した。
「年間予算20億ドル(JAXAの予算15億ドルを上回る規模)で、光通信、量子鍵配布、AIを活用した衛星データ解析、軌道上サービス、宇宙科学探査などのイニシアチブを支援するよう設計されている」と説明した。
このファンドはまた、宇宙と非宇宙のセクターを結びつけ、新たな市場を創造し、政府と民間のベンチャーキャピタル双方からの投資収益を最大化することを目指している。
「最も重要な点は、確立された技術を実際のビジネスにすることだ」と山川氏は述べ、国際協力が不可欠であることを強調した。「ひとつの国がすべてをできるわけではなく、協力することで宇宙ミッションはより持続可能なものになる」
山川氏はまた、JAXAが民間宇宙プロジェクトと国家安全保障の2つに重点を置いていることについても言及した。同氏は、JAXAが日本の防衛省やその他の安全保障機関と緊密な協力関係を築いており、衛星の衝突を防止し、海上の領域認識を強化するための宇宙状況認識への貢献も行っていると述べた。
JAXAの研究努力は、国際宇宙ステーションでの革新的な実験を通して、医療にも及んでいる。山川氏は、JAXAが微小重力環境下でのタンパク質結晶成長に成功したことで、精密な構造解析が可能になったと語った。
「これらの発見は、新薬の設計を加速させるのに役立つ」と説明した。
このセッションの他の講演者は以下の通りである: DCVCマネージングパートナー兼共同設立者のザカリー・ボーグ氏、MITメディアラボ所長のダバ・ニューマン氏、EU国防・宇宙担当委員のアンドリアス・クビリウス氏、ブルームバーグ・ニュース編集者のレイチェル・モリソン氏がモデレーターを務めた。