
パリ:木村ちづ子氏は、ミシュランの星を獲得した世界初の女性寿司シェフとなり、死にゆく夫との約束を果たした。
54歳の日本人シェフは、3年前に亡き夫、木村俊英氏が獲得したミシュランの星をパリの「鮨しゅんえい」で取り戻した。
俊英氏にとってこの星は夢のような出来事だった。しかし、喜びもつかの間だった。わずか3カ月後の2022年6月、彼はガンで65歳で亡くなった。翌年、モンマルトルの中心にあるレストランは星を失った。
木村氏は、新しい星はやはり夫のおかげだと主張した。「もし俊英が星をもらわなかったら、私自身は星をもらうことに特に執着しなかったでしょう」と彼女はAFPに語った。
「でも、彼は自分のレストランが認められたことを誇りに思っていましら。だからこの星は私にとってとても重要なものになりました」と、9席しかない小さな伝統的な「すし屋」で彼女は語った。
ミシュランは、「握りの器用さ、極上の魚の使い方と仕事ぶり、微妙な味付けのおかげで、感覚的な旅が保証されている」と絶賛した。
しかし、ちづ子氏は一流シェフになることを目指したことはなく、フランスで何十年も働いていた夫が自分のレストランを開くことを決めたときに、この業界に入ったに過ぎない。
「その時、彼はすでに病気で、私が彼を手伝うようになりました。私はツアーガイドとして働いていたのですが、新型コロナのせいで職を失ったのです」と彼女は言う。
魚のさばき方、米の炊き方、レストランの切り盛りなどを彼のそばで学びながら、弱っていく彼の世話をした。
「日に日に上達し、今でも休みの日はトレーニングをしています。いつも勉強しています」と彼女は言い、時間があれば日本に帰って修行を続けている。
夫の死後、ちづ子氏はレストランを引き継いだ。鮨職人の森岡 武志氏を雇うことでチームを強化し、メニューに「つまみ」(日本酒と一緒に出される小さな前菜)を加えることで食体験を洗練させ、米のレシピを改良し、調理器具を新しくした。
3年後、鮨しゅんえいはミシュランの星を取り戻した。「この星を維持することが第一の目標です」と木村氏は言う。「星を維持するためには、より良いサービスを提供し、完璧な品質を保証する努力をしなければなりません」
伝統的に、寿司職人のマスターになるには少なくとも10年の修行が必要だ。ちづ子氏はわずか5年で星を獲得した。
「この表彰が、他の女性たちを勇気づけたり、励ましたりすることができれば、とてもうれしいです」と彼女は言った。
彼女の今の目標は、夫の仕事とその思い出に敬意を表し、夫の功績を超えることだ。
AFP