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果実を包み込む「ユニークな」ツル植物を日本で発見

研究を主導したのは山形県自然博物園の90歳になるガイド、ナガオカ・ノブユキで、2008年にこの葉の習性を見つけて以来、毎年観察を続けてきた。(Shutterstock)
研究を主導したのは山形県自然博物園の90歳になるガイド、ナガオカ・ノブユキで、2008年にこの葉の習性を見つけて以来、毎年観察を続けてきた。(Shutterstock)
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07 Oct 2020 09:10:08 GMT9
07 Oct 2020 09:10:08 GMT9

(パリ発)日本の90歳のボランティア自然解説員が不思議なツル植物を発見した。果実を保護するために周囲に葉が巻き付いて局所的気候を作り出すという、「ユニークな」機能を持つものだと、水曜日に複数の科学者が発表した。

東南アジアに見られるこのウリ科のツル植物は、風変わりなものだ。葉というのは様々な形や大きさを持ち、光合成に欠かせないものだが、繁殖と結び付けて考えられることはあまりない。

しかし、『王立協会会報B:生物学(Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences)』が新たに発表した研究によると、このツル植物は特殊な葉で果実を包み、寒い場所での種子の生育を促進するということだ。

研究を主導したのは山形県立自然博物園の90歳になるガイド、ナガオカ・ノブユキで、2008年にこの葉の習性を見つけて以来、毎年観察を続けてきた。

論文の著者は京都大学と森林総合研究所の学者たちで、「ここに初めて、未成熟な種子を包むという独特な葉の機能を持つ一年生のツル植物について報告します」と述べた。

説明によると、このツル植物は細い一年草で、道路や川や山で分断された落葉樹林の辺縁部に生息する。
両性具有株と雄株があり、小さな白い花が8~9月に受粉し、その後一つ種の果実を結ぶ。

研究者たちは月山山麓の様々な高度で植物を観察した。山形の博物園に一部重なる出羽山地南部である。

彼らは、夏には茂っていなかった両性具有株の葉が、「広がって互いに重なって」未成熟な果実の周囲に繭のような状態になっていることに気づいた。

研究によると、これら特殊な「囲い葉」は生育期の終わりにかけて形成され、局所的気候を作り出す。そこでは、葉を取り除いた果実と比べ、最高で摂氏4.6度も温度が高かった。

著者によると、葉の囲いを取り除くと、このツル草の種子の成長・存続に悪影響があるが、そのメカニズムをつきとめるには至っていない。

また、寒い所ほど葉が厚い保護層を作ることも判っている。

「観察結果から見て、この囲いが、ツル草の終末期に襲ってくる寒さの中で種子を育てることを可能にしていると考えられる」というのが研究の結論だ。

囲い葉は光合成能力が劣っており、緑の深さも構造も他の葉と違っていることが判っている。

過去の研究でも繁殖を促す葉の機能が記されている。例えば、三白草は一時的に葉が白くなり、花粉を運ぶ虫等をおびき寄せる。

しかし研究報告によれば、このような特徴は「葉の第一の役割である光合成の促進と相反する」可能性が高い。

「光合成よりも繁殖を主な役割とする葉については、我々の知る限り今まで報告されていなかった」と著者たちは述べている。

また、彼らによれば、研究者は通常植物の繁殖的特徴と生育的特徴を別々に考えているが、今回の発見は、その二つの「ダイナミックな相互作用」のしかたを垣間見せてくれる。

AFP

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