
ヌール・ヌガリ
リヤド発:10月3日、アラブ首長国連邦(UAE)のハッザ・アル・マンスーリー(Hazzaa al-Mansoori)宇宙飛行士が8日間の宇宙ミッションを終えて無事に帰還した。このニュースは、アラブ世界における宇宙旅行の明るい未来を確信させる。
リヤドで「未来投資イニシアチブ(FII)2019」が開催され、その一環として「宇宙探査の未来」がテーマのパネル・ディスカッションが行われた。そこで、テリー・バーツ宇宙飛行士は「現在、民間部門で(宇宙への)新たな関心が高まっています」と語った。このパネル・ディスカッションはアラブニュースのファイサル・アッバス編集長が司会を務めた。
バーツは「人間のあらゆる活動の中で、1つだけ私たちを団結させることができるものがあります。それは、探査です」と付け加えた。
長期投資に関して、アラブ首長国連邦宇宙機関のムハンマド・アル・アーバビ長官は、宇宙探査は長期的には高いリターンが得られる有益な投資だと語った。
「宇宙に1ドル投資すると、長期的には12〜13ドルの利益が得られると言われてきました。したがって、宇宙は長期経済に大きく貢献しています」
バーツの宇宙ミッションには10億ドルかかったかもしれないが、その費用は地球上で働く人々の賃金に費やされた。
「私たちは皆同じ空を共有しています。出身地域に関係なく、私たちは皆同じ月を見上げています。私たちを刺激し、団結させ、若者にやる気を与える素晴らしいものです」とバーツは語った。
宇宙飛行士であることで世界中で受けられる特典がある。バーツは「私は行く先々で興奮と熱気に包まれます」と明かした。中国でさえ、小さな子供たちが彼を尊敬し、彼の体験に興奮すると振り返った。
昨年、バーツはホワイトハウスで講演し、両院の政治家と交流した。
そこでマイク・ペンス副大統領が引用した「火星への到達はロケット科学次第ではない。政治科学次第だ」という言葉が最も注目に値すると語った。
火星ミッションは完了するまでに何年もかかり、参加者は片道チケットで火星へ飛び立つことになる。彼らは戻ってこない。
火星は極めて困難だ、とバーツは語る。「ビジョンと目標を考え出すために国際協力が必要な大規模な計画です。政権が変わるたびに変更することなく、やり通す必要があります。火星探査はすばやく簡単に行えるものではなく、協力体制を維持する必要があります」
アル・アーバビは、火星大気圏を周回する宇宙船を2020年に打ち上げる計画がすでに存在すると明かした。
「若い人たちにこの計画が実現可能であることに気付いてもらおうと努めています。このプロジェクトは順調に進んでおり、来年日本から打ち上げ予定です」
アル・アーバビは、このプロジェクトがすでに多くの知識をもたらし、大学との共同研究も行われていると述べた。
アル・アーバビは、火星に水はあるのか?そして何よりも、火星に生命は存在するのか?という大きな謎に取り組み続けると語った。
宇宙観光のテーマでは、バーツは1回の旅行で約25万ドルかかるだろうと述べた。
そして、イーロン・マスクのような人々がそのような冒険に適切だと意見を述べた。
「私たちが大きな成功を収めるには、マスクのような人が必要だと思います。彼らのような人はすばやく革新し、ミスをすればすぐに修正します。彼らの物事の進め方は、率直に言って、政府にはできないことです」
とはいえ、バーツは公的部門と民間部門のパートナーシップの重要性を指摘し、それが将来の成功の鍵であると主張した。
アッバスが最後に一言ずつコメントを求めると、アル・アーバビは「政府の役割は小さく、民間部門により大きな役割を」と述べた。
バーツは「私たちは毎日新しい惑星を発見しています」と語り、その惑星は「はるかかなたにあり、そこにだどり着くまでに長い時間がかかります」と述べた。