


ワシントン:「これで終わりではない!」「盗みを止めろ!」と唱えながら、ドナルド・トランプ大統領の支持者たちは、土曜日に国内の州議事堂で抗議し、敗北を受け入れることを拒否し、民主党が不正を行い勝利したというトランプ大統領の根拠のない主張を繰り返した。
3日間以上に及ぶ緊張感に満ちた票集計の結果民主党が勝利した後、アトランタ、タラハシーからオースティン、ビスマーク、ボイシ、フェニックスに至るまで、一部公然と銃を携帯する者も含む十人から数千人の規模の群衆は、ジョー・バイデン氏の勝利のニュースを非難した。いくつかの都市では小競り合いが勃発した。
アトランタでは、長年共和党の拠点であったジョージア州の州議会議事堂の外で、推定1,000人のトランプ支持者が集まり「奴を閉じ込めろ!」という声が響き渡った。
他の人たちは、「これで終わりじゃない!」「フェイクニュースだ!」と唱えた。通りはアメリカ国旗とトランプ支持の横断幕であふれかえっていた。
暴動はこれまで報告されていないものの、ある時点で警察はトランプ反対派をトランプ支持者から引き離した。
バイデン氏はジョージア州で僅差のリードを保った。同州は1992年以来大統領選で民主党候補が勝利していない。
テネシー州マーフリーズボロ出身のジョーダン・ケリー氏(29歳)は、トランプ大統領の支持集会に参加するために、車で3時間以上かけてアトランタに向かった。
「選挙で不正が行われている」とケリー氏は語り、州知事と州務長官が共和党であるジョージア州の有権者がバイデン氏を優位にするため、不正に投票用紙を集計したと主張した。
「私はテネシー州に住んでいますが、アメリカ人です。アメリカ人が今回の選挙で声を上げられるようにしたいのです。」
ケリー氏は来週、トランプ大統領と彼の弁護団が訴訟を提起すると誓った最高裁の階段でデモを行うために、10時間かけてワシントンに行く計画をしている。
アメリカ国民の深い政治的分裂でのお互いに対する恨みを強調するように、ワシントンの反トランプのデモ参加者らは、ブーイングし、卑猥な言葉を叫び、トランプ大統領が土曜日にゴルフからホワイト・ハウスに戻ってきた際、「負け犬!負け犬!」と叫び、トランプ大統領の護送車に向けて中指を立てた。
トランプ大統領の所有するワシントンのホテル前には、「負け惜しみを言うな」、「現実を受け入れろ」と書かれた看板が2つ掲示されている。
バイデン氏は、テレビ放映された土曜日の演説の中で、アメリカ国民に対し団結と和解を求め、アメリカ国民にとって 「暴言をやめて冷静になり」「互いを敵とみなすのはやめなければいけない」時だと述べた。
さらに、「この厳しい悪夢の時代に今ここで終わりを告げよう」とバイデン氏は訴えた。トランプ支持者の主張に反して、深刻な不正投票の証拠はない。
そして、アメリカの一部の共和党選出議員は、トランプ氏と距離を置き、潔く結果を受け入れるよう促し始めた。
バイデン氏を正当な大統領として完全に拒否するトランプ大統領と彼の支持者の姿勢は、アメリカ政治史に新しい何かを表しているように見えると、バージニア大学ミラーセンターのバーバラ・ペリー大統領研究部長は述べた。
「支持者らに対し『不正が行われた。選挙は盗まれたのだ』と訴える選挙で負けた大統領はこれまで一人もいませんでした」とペリー氏は語った。
「怒りで新大統領の就任式に参列しなかった現職の大統領いましたが、詐欺が行われたと言って支持者らを誘導するような今回のようなことはこれまでありませんでした。」
ハリスバーグにあるペンシルバニア州議会議事堂には数千人のトランプ支持者が集まった。ペンシルバニア州は今回のバイデン氏の勝利に重要な役割を果たした。
ブルース・フィールズ氏(66歳)はバイデンの勝利を宣言した報道機関について「私達がこれを今止めなければ、全て終わってしまう」と述べ、「そうでなければ我々は自由を手放してしまう」と語った。
約24人程度の迷彩服を着た重装備の男たちがデモに参加していた。
フェニックスのアリゾナ州議事堂に集まった群衆は数時間以内に1,000人以上に膨れ上がった。バイデンは彼なりの方法により選挙人を獲得し、アリゾナ州で勝利を収めた。
元州上院議員でアリゾナ共和党議長を務めたケリ・ウォード氏は、狂気の親トランプ支持者のデモ参加者に対し「共和党がこれまで優位であったアリゾナ州でトランプ大統領が苦戦したのは非常に怪しい 」と語り、「(票集計)機械から出てくる数字に矛盾があるかどうかを知りたい」と加えた。
オースティンのテキサス州議会議事堂には1000人以上の人々が集まり、警察はトランプ大統領支持者とバイデン氏支持者を通りの反対側に離した。数百人のデモ隊が、オレゴン州セーラムで行われた 「盗みをやめろ」と題された集会に参加した。
選挙結果が僅差でなかった場所でも、トランプ支持者が大挙して集まり、トランプ大統領への支持を表明し、選挙結果への不満をぶちまけた。
ビスマークのノースダコタ州議会議事堂の外では、同州の全共和党議会代表団が抗議の声を上げ、プラカードを掲げたデモ抗議集団に参加した。
トランプ支持者とバイデン支持者、黒人差別反対運動「Black Lives Matters」(BLM)の参加者との間で数回小競り合いが勃発し、あるBLM支持者が自身の手をトランプ支持者に手錠をかけようとし、二人は地面で取っ組み合いを始めた。
警官はこのBLM支援者をパトカーまで護衛した。彼が逮捕されたかどうかは不明である。
ミシガン州ランシングでは、約50人のトランプ支持者とBLMの旗を持った行進者のグループが州議会議事堂に集結し、緊迫した睨み合いの中で押し合いや怒鳴り合いを繰り広げた。
しかし、結果が判明した瞬間に、両方から数人が祈りを捧げ、少なくとも1組は抱き合った。
ネバダ州ヘンダーソンのフランク・ドブス氏(40歳)は、強風と格闘しながら拡声器と「トランプ2020」の旗を持ってノースラスベガスのクラーク郡有権者登録所の外で行われた集会に参加した。
「本当に終わるまでは終わりではありません。まだ裁判があります。広範囲にわたる不正行為を暴く時があるとすれば、それはトランプ大統領です」とドブス氏は語った。
「メディアは誰が大統領選に勝利するのかを決めるのではなく、決めるのはこの国の合法的な有権者です」とノースダコタ州ビスマークのジェームズ・マクファーソン氏が寄稿を寄せた。ゴールドマンはミシガン州ランシングから報告を行い、スノー氏はフェニックスから報告した。
AP通信