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アッシャルクのGM、ブルームバーグとの提携と地域の競争について述べる

新しいアシャーク事業のゼネラルマネージャーであるナビール・アルクハティブ、湾岸地域ですでに18のアラビア語テレビ局が放送されているにもかかわらず、今回のチャネルには差し迫った明確な必要性があると認識。(Supplied)
新しいアシャーク事業のゼネラルマネージャーであるナビール・アルクハティブ、湾岸地域ですでに18のアラビア語テレビ局が放送されているにもかかわらず、今回のチャネルには差し迫った明確な必要性があると認識。(Supplied)
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10 Nov 2020 09:11:38 GMT9
10 Nov 2020 09:11:38 GMT9
  • ナビール・アルクハティブ、中東メディアにおいて、新しいアプローチの必要性を説明

フランク・ケーン

ドバイ:新しいメディアの立ち上げは、それはそれで刺激的で、やるべきことが多いイベントであるが、中東でまったく新しいマルチプラットフォームチャネルを立ち上げるとなれば、それは桁違いに大変な作業だ。

ナビール・アルクハティブは間もなく本番のスイッチをオンにして、テレビ、インターネット、およびアラビア語のさまざまなソーシャルメディアプラットフォームでアシャークニュースの放送を開始する。

アシャークニュースの野心的なプロジェクト、国際的な大手情報機関ブルームバーグと、サウジ・リサーチアンドマーケティンググループのパートナーシップは計画調整に時間を要したが、遂に実を結んだ。サウジ・リサーチアンドマーケティンググループはアラブニュースの母体であると共に、世界最大のアラビア語ニュースメディア、ロンドンを拠点とするアシャーク・アルアウサット、およびサウジアラビア国内に他のいくつかの情報通信会社を保有する。

新会社のゼネラルマネージャーであるアルクハティブは、湾岸地域ですでに18のアラビア語テレビ局が放送されているにもかかわらず、今回のメディアには差し迫った明確な必要性があると認識している。「適切なコンテンツを入手できていない特定のターゲットグループがあり、あるいは言い方を変えれば、適切でないコンテンツしか受け取れないでいるグループがある」と、彼はアラブニュースに語った。

アルクハティブはコンテンツのターゲティングについて語っているが、読者と視聴者にとって「何が適切」なのかは、3年前のローンチが発表されて以来アシャークでは中心的な議論となっている。

ブルームバーグは、世界中に2,700人のジャーナリストと専門家を擁する、大規模、かつ容赦ない報道で有名なグローバルニュース組織であり、考えの独立性と、ビジネス指向の報道でしばしば反景気循環的な見方をする傾向があることで知られている。それは時々、視聴者、読者、そしてとりわけ、現地の政府や政策立案者の怒りを招くときもある。

ブルームバーグのコンテンツが中東の常識では受け入れられ難いものであったとき、アルクハティブはこの問題にどのように対処するのであろうか?

「そうした問題が起きたときに対応するためのメカニズムがあります。まず、その地域にふさわしいと思う情報は、当然そのまま流します。視聴者や読者が興味を持つと思われる記事を見つけた場合は、そのまま翻訳します。何らかの理由で不適合または不適切であった場合、当然はその記事は取り上げません。つまり、私たちは完全に取り上げるか、まったく取り上げないかのどちらかです」と、彼は述べた。

「パートナー(ブルームバーグ)が、記事の内容として我々に適さないもの、政治的に敏感なもの、または地域で遵守している法律と矛盾するものを公開した場合、我々はどうするのか?そういう場合も、記事全体を取り上げるか、まったく取り上げないかのどちらかです。我々の方で、コンテンツを変更することはありません。我々は彼らのコンテンツの完全性を尊重します」と、彼は付け加えて述べた。

媒体の編集上の意思決定の重要点の質問に対して、彼は国際的に認められたガイドラインに従う方針であることを披露している。

「アシャークの編集ガイドラインと方向性は、バランスが取れていて、公正、的確であり、法律に矛盾しない限り、ブルームバーグに掲載され、一般の人々の興味を引いている情報を公開していこうとするものです」

「時には非常にいいと思う記事があっても、責任を問われるかも知れないので、掲載はやめようと弁護士に止められることがあるかも知れません。しかし、法的に問題が無いものである限り、潜在的な視聴者や読者にとって本当に興味深いものはすべて、取り上げて、掲載を推進する必要があります」と、彼は付け加えて述べた。

同社の編集方針が世界の多くの地域では標準的なものとしても、彼が言うには、往々にして中東では「許容範囲を超える」ことに他ならない。

アルクハティブによると、新しいチャンネルは他の点でも既存チャンネルとは一線を画すが、視聴者サービスの点で、現時点では十分に対応し切れていない。

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略歴

生まれ:パレスチナ、1962年

教育:旧ソビエト連邦から学士号および博士号

キャリア

パレスチナのビルツァイト大学でジャーナリズム学校を創設

ヨルダン、メディアインスティテュートとドバイ、アメリカンユニバーシティ講師MBCニュース局長、

アルアラビーヤ、編集長

アルアラビーヤ、ゼネラルマネージャー

アシャークニュース、ゼネラルマネージャー

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「最初のターゲットグループは、世界中の経済発展と、それが中東全体とそれぞれの国にどのように影響するかを認識する必要がある主要なビジネスリーダー、起業家、政治リーダーです」

「信じられないかもしれませんが、アラビア語には今回提供するようなコンテンツはありません。国際市場、経済的オポチュニティーや課題、そしてそれらが地域に与える影響、こうした情報を優先的に取り扱う報道機関はこれまで存在しませんでした」と、彼は述べる。

他に同チャネルがターゲットオーディエンスとしているのは、既存の報道チャネルから見落とされてきた、膨大な人数の若いアラブ人である。アラブ語を話す人口の大多数は、実はこの25歳未満の層でもある。

「誰もがこの若い層の存在を知っている。しかし、誰も彼等のことを真剣に捉えていない。彼等は他の主流メディアからは存在しないも同然に扱われている。我々は、彼らにアピールし、彼らの問題や懸念に取り組むべきだと考えました。そして彼等へのアピールは多くのデジタルプラットフォームを介して行います。それが、彼らがコンテンツを消費する方法だからです」と、彼は付け加えて述べた。

地域ジャーナリズムの主流の道でこれまで長くキャリアを積んできた後、アルクハティブは新しいアプローチが必要であると感じている。

「我々は他のメディア会社のように『テレビ中心』でいこうとは考えていません。他社はテレビにこだわっています。彼らはあまりにも長い間テレビにこだわってきたおかげで、そう簡単にはワークフローを変更できないで、立ち往生しています。 我々は新会社なので、他社が直面している困難から学び、『ストーリー中心』で行こうと志向しています。そうすることで、より変化に機敏で、より魅力的でいるのに役立つのではと考えています」と、彼は述べた。

「ストーリー中心」とは、ニュース報道を見る新鮮な方法を意味する。「我々は、これはテレビ放映に適しているとか、これはウェブサイトに掲載するのに適しているなど、媒体にこだわった考え方はしていません。我々は取り上げられている問題自体、コンテンツそのものについて考え、その理解に必要な調査や情報をすべて提供しようとしています。我々は常にイベントの見通しを示すように努めていますが、これはアラビア語のニュースジャーナリズムでは滅多に行われないことです」と彼は述べる。

「我々はストーリーを360度俯瞰しようとしています。『点を結ぶ』ことがアシャークニュースのスローガンで、そのスローガンに則ってジャーナリズムを推進し、究極の目標を追求しています。アシャークニュースでの点は、ニュースをその文脈、地理的設定、歴史的側面、政治的深さ、経済的影響、社会的現実に結び付けています」

「こうした対応は、これまでこの地域では行われていません」と、彼は述べ、ニュース報道、特にグローバルな問題の報道は国際的通信社の配信に過度に依存し、その地域のコンテキストで捉え直すことなく放映していたと、説明する。

伝統的な地域メディアが欠けているもう1つの面は、「非常に個人的な見解として」、政治問題の取扱いである。「この地域には、政治的見解の分極化によって投獄されているジャーナリストが大勢いる。そのため、ストーリーをあるがままに伝える能力が制限されています。ストーリーを語る場合は、公平でバランスを取って表現するか、あるいは自己のイデオロギーに基づいて取り扱うようにしています」と、アルクハティブは述べる。

新しいベンチャーの目玉は、24時間のニュースチャンネルであり、ブルームバーグとのパートナーシップによって、主としてビジネス関連のコンテンツを取り上げる。「最初はビジネス関連報道が約30%を占めますが、明確にビジネスと非ビジネスの間に壁があるわけではありません。興味深いのは、ビジネス主導のモーニングショーを提供することです」

「この地域で初めて、そしてここで誤解なきようお伝えしておきますが、この2時間のモーニングショーは、主婦対象ではありません。昨夜の北米市場の動向や、現在アジア市場がどのような状況か、そして、そしてこうしたことが、今後我々の地域にどのような影響を与えるか、そうしたことを知りたいCEOのためのショーです。このショーを観れば、世界中で何が起こっているのかを俯瞰できるようにしたいと思います」と、彼は説明する。

残りの毎日の番組放送スケジュールは、ニュース、ドキュメンタリー、調査コンテンツで構成される。「ザ・リンク」というタイトルの1つのセグメントでは、政治的イベントがビジネスと経済にどのように影響しているかを視聴者に説明し、別のセグメントでは、中東に対するグローバルイベントの影響を探る。もう1つのプログラム「イーストサークル」では、政治、経済、テクノロジーなどの分野を深く掘り下げる。

TVチャンネルには、スポーツニュースなどのコンテンツが個々のユーザーの好みや興味に合わせて自動的に調整される、「非常に強力な」デジタル操作が可能となっている。

「我々は、視聴者が、一方的に彼らが好きだと思うものを押し付けるニュース会社を高く評価するとは思わない」と、彼は述べた。視聴者がブルームバーグのオリジナルのコンテンツを見ることができる、ビデオオンデマンドプラットフォームもある。

アルクハティブは、この地域で最大の経済国であり、世界の主要国から構成されるG20グループのメンバーであるサウジアラビア関連の報道が、放映番組の大半を占めると予想する。しかし、番組全体では、現状リヤド、ドバイ、カイロにオフィスを構え、今後モロッコにも置くことが予定され、中東全体と北アフリカも詳細に取り上げていくことが予定されている。

アシャークニュースはリヤドに登録上の本社を置き、ドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター(DIFC)、ドバイ、ワシントンDCに本社機構を置く。ただ、リヤド本社には今後拡大が見込まれる事業があり、アルクハティブはいつの日かここが、この地域やその他でも展開し始めているサテライトオフィスのハブの主要な事業拠点になると考えている。

「我々はブルームバーグのコンテンツと新しいアプローチ、そして他のプラットフォームの、新しい扱い方法をもたらします。この地域の他のプラットフォームでは見られないものを視聴者や読者に届けたい思います」と、彼は述べた。

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