
ナデル・サモウリ、大阪
京都大学大学院の地震工学博士であるアニルバンと、日本人の世界旅行者である古田喬大が、自然災害や仕事・雇用に関することを含む不確実性への対処法として、精神性をどのように活用できるか考察した。
2016年の熊本地震と2018年の西日本の水害を受けて、アニルバンはこれをより理解しようと地震工学の分野を利用し、考え方の手引きを提示した。
「私の地震工学での経験と学術的訓練を積んだおかげで、関連情報を共有して、災害を経験したことのない新留学生をサポートすることになりました」と、アニルバンがアラブニュース日本版に語った。
日本では年間5000回近くの地震が記録されているが、そのほとんどが軽微で日本の特定の地域に限られたもので、気づかれないことが多い。しかし日本の気象庁によると、マグニチュード5以上の地震が毎年150回以上発生している。
このように災害が多いのは、日本がいわゆる「環太平洋火山帯」に沿って位置する日本の地理的な場所によるものだといえる。
「日本は、おそらく世界のどの国よりも多くの災害に直面してきました。その結果、日本人はより冷静で回復力のある人たちになったのだと思います」と、アニルバンは語った。
アニルバンは、日本の文化が物質的なものに根ざしていないことを説明することで、このような予期せぬ災害に対処するために精神性がどのような役割を果たしているかについて言及した。
「日本社会について気付いたことといえば、日本人は物質にあまり執着していないように感じます。日本人は物への執着に限界があるため、簡単に物を処分できます。物質に執着しなくなると、失うことに影響を受けなくなります。日本人は災害を生活の一部として受け入れていると思うのです。そしてだからこそ、その精神的な部分を否定できないのです」と、アニルバンは明言した。
古田はこれに続き、日本の自殺率の高さは自然災害によるものではなく、仕事関連のストレスや広く広まっている孤独感によるものだと述べた。
「その両方の結果、自殺が大きな社会問題になったのだと思います」と、古田は意見を述べた。
また古田は、日本では宗教的関わりが希薄であることが、体感としての孤独感や孤立感の強さに影響しているのではないかと指摘し、対照的な見解を示した。
古田は、オマーン、UAE、カタール、ヨルダンなどの複数のアラブ諸国を含む約60ヶ国を旅し、これらの国々と日本の宗教の比較を行った。
「これらの地域の人々が持っている神への深い信仰心のおかげで、自殺を思いとどまることができるのだと思います。自分が弱っているときには神様が助けてくれ、自分と共にいてくれると信じることで、ある種の豊かさを享受できるのだと思います」と、古田は語った。
さらに古田は言葉を続け、「日本ではあまり宗教的な生活をしていないので、アラブ諸国への旅は魅力的だった」と強調した。「一人の人間がこれほどまでの時間を祈りに捧げるというのは、私にとって非常に大きなパラダイムシフトでした。日本人はたまにしか神社やお寺に行きません」。
日本では、主要な精神的慣習は神道と呼ばれ、日本人の約69%が実践している。神道では、全てのものに超自然的な存在や霊が宿ると信じられている。神道では何百万という膨大な数の神々が崇拝されているため、身の回りの全てのものが、神であるかのように尊重されなければならないのだ。
神道、つまり、神の道では、動物の姿をした神の使いとして知られる使者が信じられている。そのため、日本の神社を歩くと、動物の像を目にするのだ。