
ディアナ・ファラ―
ドバイ: パレスチナというと、人々は戦争で引き裂かれた、中東の紛争地帯としてのイメージを思い浮かべる。
しかし、日本人作家の菅梓さんは、パレスチナを豊かな文化、美味しい料理、素晴らしいもてなしがあるところとして見ている。
(聖地パレスチナ一人散歩).梓さんは、アラブニュース・ジャパンの独占取材で『聖地パレスチナ一人散歩』と題した本を三月末に出版すると話してくれた。
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作者である梓さんは、「この本はガイドブックでも、学術本でもありません。私がパレスチナと恋に落ちた瞬間の物語なんです」と語った。
梓さんは、特に日本の人々にパレスチナでの素晴らしい食や文化に関する自分の体験を見せたかったのだと言う。
「日本の人に、私がどんなに感銘を受けたか伝えたかったんです。私がどんなに強い情熱をパレスチナに抱いているか見せたかったのです」と梓さんはつけ加えた。「パレスチナは存在するって言いたかったんですよ」
この地域でアルコール類が販売されていることに多くの人が驚くので、梓さんはイスラム教徒とキリスト教徒がともに暮らしていることを見せたかったのだと語った。
梓さんは2015年、ヨルダンで結婚式に参列したあとに初めてエルサレムを訪れた。この旅行で、彼女はベツレヘムやヘブロンにも足を運んだ。
「私は神聖なものも、そうでないものも目にしました」と梓さんはアラブニュース・ジャパンに語った。「でも、多くの人が私に親切にしてくれました。年配の女性がエルサレムで私を案内してくださって、私に自分の人生を話してくれたんです。ベツレヘムでは降誕教会やドハイシャの難民キャンプ、ベイトサフールを訪れました。あるファラフェルのお店のオーナーは、ファラフェルの作り方まで教えてくれたんですよ」
梓さんは、もてなしの感覚において、パレスチナ人と日本人はとても似ていると言う。「唯一違うのは、パレスチナ人の方がもっとゆったりしていて、日本人はやや固いところです」
食べ物のことといえば、写真家である梓さんはパレスチナ料理のカラフルさや鮮やかさが大好きなのだと言った。梓さんのお気に入りのパレスチナ料理のひとつは、「マクルーバ」(逆さまという意味)だ。肉、米、揚げた野菜を鍋の中に重ねていき、料理を提供する時にそれをお皿に逆さまに出すのだ。
梓さんはブドウの葉で具材をくるむ「ワラカイナブ」や、パレスチナの伝統料理で玉ねぎ、オールスパイス、サフラン、揚げた松の実と一緒にローストした鶏肉をパンの上に載せて食べる「ムサッハン」も美味しかったと語った。
食べ物ばかりが梓さんの関心を引いたわけではない。この日本人作家は、人気のパレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーや、マフムード・ダルウィーシュによって書かれた詩や文学にも興味を抱いた。
「彼らの詩を日本語で呼んだのですが、アラビア語が分かる日本人の友達にもっと深く説明してもらったんです」と梓さんは言った。「アラブの文学を深く知っている人はいないんです」
梓さんはこれらの作家の詩がとても気に入って、カナファーニーやダルウィーシュの顔写真をプリントしたTシャツやその他のグッズまで作ってしまったほどだ。
梓さんが最後にパレスチナを訪れたのは2019年の後半で、パレスチナが政治的な緊張状態にあったために状況は難しく、決して理想的ではなかったという。
しかし、梓さんはパレスチナの人々をこう評する。「忍耐強く、強い意志、主体性、そしてユーモアを持っています。イスラエルの検問所で待っている間も、私の友人たちは笑い、冗談を言っていました」