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違法に持ち出された貴重な文化財5万2000点をサウジが取り戻す

2つの中型の石の重量は10キログラム。 1つには民俗文字でアラビア語の碑文が刻まれ、Hufahの村で発見された。(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
2つの中型の石の重量は10キログラム。 1つには民俗文字でアラビア語の碑文が刻まれ、Hufahの村で発見された。(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
Hamdan Al-Harbi氏のTloubの井戸。(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
Hamdan Al-Harbi氏のTloubの井戸。(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
自身が発見した石とともに映るHamdan Al-Harbi氏(左)(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
自身が発見した石とともに映るHamdan Al-Harbi氏(左)(写真:Mohammed Al-Maghthawi)
03 Dec 2019 03:12:23 GMT9
  • Nayef Al-Qanoor博士によると、返還された国家遺産文化財のほとんどは米国からのものであった
  • サウジアラビア観光および国家遺産委員会(SCTH)が30年以上にわたって行ってきたキャンペーンの成果により、このような回収が可能となった。

Lojein Ben Gassem

リヤド:サウジアラビア観光および国家遺産委員会(SCTH)は、違法に持ち出された何千もの古文化財を取り戻した。

SCTHは、サウジアラビア国内外の市民や住民に国家の古文化財を引き渡すよう促している。このような活動が行われる理由は、古文化財はかつてサウジアラビアで広まった文明を研究する上で不可欠な証拠であり、博物館や博覧会に展示し、その歴史的価値を明らかにするためである。

SCTHは、サウジの内務省と外務省の当局と協力し、紛失した文化財の目録を作成し回収する特別委員会を設置した。

SCTHのウェブサイトによると、こうした取り組みの結果、約3万2000点の国立文化財がサウジ国外から、約2万点の国立文化財がサウジ国内から返還された。

SCTHの古文化財の登録と保護部門の局長であるNayef Al-Qanoor博士は、考古学的調査はサウジの考古学的研究の柱と考えられていると述べた。この調査は、サウジの研究者の小グループから始まった。

「1980年以降、サウジの古文化財に関与する組織の設立と、国の文化財を保護するための法令の制定に着手してきました」とAl-Qanoor博士はアラブニュースに語った。「それ以来、同組織は違法に持ち出されたサウジアラビア国内外の古文化財の目録を作成し、文書化し始めました」

Al-Qanoor博士によると、SCTHのデータベースには紛失した古文化財が記録され登録されているという。

盗難された国家文化財の委員会のウェブサイトには、各アイテムの写真と説明、および盗難の時期が記載された盗難品リストが載っている。

同氏によると、SCTHはパートナーと協力し、古文化財の調査に取り組んでいるという。「返還された国家遺産文化財のほとんどは米国からのものでした」と同氏は語った。

Al-Qanoor博士は、同委員会とサウジアラムコの間に「サウジアラビアから違法に持ち出された国家古文化財の返還に関する」共同協力協定があると述べた。

これらの古文化財は、1960年代にサウジアラビアで働いていた米国市民から、もしくは外務省と連携して彼らの親族により自発的に返還された。

フランス、イギリス、カナダからも自発的に国家古文化財が返還された。

SCTHは古文化財を返還した人々を称えるとAl-Qanoor博士は述べた。

『AramcoWorld』の編集補佐で、年に2回発行される雑誌『Al-Ayyam Al-Jamilah』の編集長であるアーサー・クラーク氏は、ダーランにあるサウジアラムコのアブドゥルアジズ国王世界文化センター(Ithra)を通じ、2011年後半にこの国家古文化財返還プロジェクトに関わるようになった。

同氏は次のように語った。「同センターは、アラムコ社の退職者やその家族がサウジアラビアにいた間に収集した考古学的古文化財を本国に返還することを促すため、サウジアラビア観光および国家遺産委員会(SCTH)と協力して国家古文化財返還プロジェクトを開始しました」

アラムコのヒューストンに拠点を置く子会社は、クラーク氏が編集する退職者向けのサウジアラムコの雑誌、『Al-Ayyam Al-Jamilah』を発行している。「この雑誌を通して、私たちは世界中の年金受給者にサウジアラビアの歴史上関心のある美術品を探す手助けをしてもらいました」と彼は言った。

クラーク氏は、SCTHとの協同契約でIthraと協力し、古文化財をサウジアラビアに返還するよう計らった。

クラーク氏は、数百点の古文化財を返還する手助けをしたと述べた。「その範囲は、ルブアルハリ砂漠で見つかった何百もの矢じりやその他の石器から、東部のアハサー地方の1000年前の土器、マダイン・サーレハの玄武岩砥石、同じく東部の新バビロニア時代の印鑑やローマ時代のガラスのブレスレットにまで及びます」と同氏は語った。

クラーク氏は、自分は骨董品収集家ではないが、現地サウジアラビアやその博物館で古文化財を見るのが好きだと語った。「退職者やその家族と連絡を取る仕事をしているうちに、多くの『思いがけない骨董品』が見つかったのです」と彼は言った。

クラーク氏によると、「ひとつひとつが魅力的だ」という。

「その古さ(や旅してきた過程)のため、最も興味をそそられた(古文化財の)1つは、マーリアン・ファーガソン氏がジュバイルの近くで見つけた粘土でできた椀であった。ファーガソン氏は、1953年から1970年まで、ダーランで夫のケネスと息子のケンとともに暮らしていました」と彼は語った。

アラビア考古学者として高い評価を受けているダニエル・ポッツ氏によると、これは紀元前3400~3000年のメソポタミアの外傾面取口縁鉢であることはほぼ間違いなく、「もしそうだとしたら、東部地域で見つかるのは初めてだ」という。

「もう1つの注目すべき『発見』は、東部地域で発見され、退職したマーク・ゴールドスミス氏によって他の文化財とともに寄贈されたビーズ掘削道具のように見えるもので、おそらくこの種のものとしては初めてでしょう」とクラーク氏は語った。

Al-Qanoor博士によると、サウジアラビアからの古文化財の流出は、国家遺産に携わる公式機関が設立される前に起きたという。「これらの出来事は、国の遺産の重要性が十分に認識されていなかった時代に起きたため、一部が違法に国外流出するという結果を招いたのです」と同氏は語った。

Al-Qanoor博士は、サウジ国内の伝統的な古文化財を扱うすべての店が規制の対象であると述べた。これらの市場は常に監視されており、委員会は持続可能なパートナーシップの観点から所有者と協力を行った。

同博士によると、返品されたすべての古文化財は公式なルートを通じて戻ってき、修復される前にアイテムの真正性とそれがサウジアラビアの文明のものかどうかを確認するという一連の手続きを受けているという。

「その後、外務省をはじめとするパートナーと連携し、正式な復旧手続きが開始されるのです」とAl-Qanoor博士は述べた。

同博士によると、返品されたアイテムのほとんどは元の無傷の状態にあるという。中には小さな破損があったため、遺産および博物館部門の復興省によって修復されたものもあった。

初期イスラム碑文のサウジアラビアの専門家であるMohammed Al-Maghthawi氏は、3000以上の初期イスラム碑文を発見し、学び解読し、多くを歴史的な資料に関連付けてきた。

同氏は、預言者たちの道と呼ばれる古い隊商ルート上にある3つの考古学的遺跡の発見と登録に貢献し、国立考古学一覧に登録された。

Al-Maghthawi氏は7世紀と8世紀の3つの初期イスラム碑文を提出し、その発見によりSCTHの前会長であるスルタン・ビン・サルマン王子から賞を受けた。

「サウジアラビアには、他のどの国にも見られない多くの遺跡や歴史的な遺跡、碑文、絵があります。私たちは、この貴重な国家遺産を保護するための規制と指示の下、SCTHと協力しているのです」と彼は言った。

預言者たちの経路、移動(ヒジュラ)、そしてマッカとマディナの間の隊商が横断する村で発見された歴史的古文化財に関する専門家、Hamdan Al-Harbi氏は、地下の村から墓石を発見し、1992年に洪水がこの村の一部を襲ったとき、これらの歴史的墓石の多くを最初に発見した。

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