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トランプ政権の最後の数週間、イランは緊張状況にある

首都テヘランの少し東にある小さな町アブサールでモフセン・ファクリザデ氏が殺害された現場。(AP)
首都テヘランの少し東にある小さな町アブサールでモフセン・ファクリザデ氏が殺害された現場。(AP)
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16 Dec 2020 06:12:31 GMT9
16 Dec 2020 06:12:31 GMT9

オサマ・アル=シャリフ

米トランプ政権が任期を終えるまで残り5週間となり、イランのトップクラスの核科学者が先月テヘランの郊外で暗殺された後、地域で緊張が高まる中、イランは新たな攻撃に備えている。イランの核開発計画の主要人物と見られており、長年にわたってイスラエルのモサドに狙われていたと伝えられているモフセン・ファクリザデ氏が殺害されたことに対して、イランはイスラエルを非難している。

米国のメディアによると、米国のマイク・ポンペオ国務長官はドナルド・トランプ氏から、第三次世界大戦の開戦以外で、イランに対してエスカレートする許可を得たと言われている。イラン議会がファクリザデ氏の殺害に対応し、国連の査察を停止し、ウラン濃縮度を上げることを認める法案を可決したことを受けて、ポンペオ氏は先週、イランを激しく非難した。「国際社会はイランの駆け引きに報酬を与えてはならない。イラン議会が可決した措置が実施されれば、イランは、平和目的だと信じられる論理的根拠もなく、ウラン濃縮度を危険な20%に上げるだろう」とポンペオ氏は11日、Twitterに投稿した。

しかし、イランのハサン・ロウハニ大統領も、2015年核合意への復帰と米国の制裁緩和を目指した外交努力に「悪影響を及ぼす」だろうと言い、この法案への反対を表明している。米国のバイデン次期大統領が1月20日に就任する前に、イランでは強硬派といわゆる改革派との間で主導権争いが激化している。イランでは2021年6月に大統領選挙が行われ、ロウハニ氏は最高指導者アリ・ハメネイ師の側近の挑戦を受ける予定だ。

トランプ氏は、大統領に選ばれる前から、バラク・オバマ前大統領が締結した、イランとの2015年核合意から米国を撤退させると約束していた。トランプ氏は2018年、正式には包括的共同行動計画として知られている合意を撤回し、合意の再交渉を目的とし、イランへの「最大の圧力」政策を採用した。米国の厳しい制裁はイラン経済に大きな打撃を与えているが、イランを交渉のテーブルに連れ戻すことはできていない。米国の政策は欧州を分断し、ロシアと中国はイラン側に付いた。

バイデン氏は、米国の欧州のパートナーと協議し、核合意を復活させる方法を模索することを約束したが、論議を呼んでいる長距離ミサイル計画と地域の課題に関して、イランに対し、いくつかの新しい条件を追加した後だった。ロウハニ氏は先週、バイデン氏に対し、米国の制裁をやめ、核合意に復帰するよう求めた。ジャバド・ザリフ外相は先月、バイデン次期政権に対し、イランに課されている全ての制裁を解除する「3つの大統領命令」を出すよう要請し、「前提条件や交渉」は必要はないと付け加えた。

バイデン氏が就任する前に、イランでは強硬派といわゆる改革派との間で主導権争いが激化している。

オサマ・アル=シャリフ

ベンジャミン・ネタニヤフ首相率いるイスラエルはイランとの合意に反対していたが、先月、バイデン氏に向けたものであることが明らかなメッセージの中で「以前の核合意に戻ることがあってはならない。我々は、イランが核兵器を開発しないことを確実にするために、妥協しない方針を固守しなければならない」と述べた。イランとの核合意に反対しているのはネタニヤフ氏だけではない。湾岸諸国の中には、今ではイスラエルとの国交を正常化した国もあるが、イランの核計画を地域の脅威と見なしている国も多い。

ワシントンでは、トランプ氏は、イランと再びつながろうとするバイデン氏の努力を妨害する準備ができているかもしれないと考えられている。多くの湾岸諸国が非難した、ファクリザデ氏の殺害は、イランを挑発し、対応させることを意図したものだった。ハメネイ師は、1月にバグダッドでコッズ部隊のガセム・ソレイマニ司令官が暗殺されたときと同じように、今回の殺害の報復をすることを誓っているが、軍の上層部は、イランは適切な時期を選んで対応すると強調している。

イランで最も過激な人物たちでさえ、この地域の米国の標的に対して挑発的な動きをすすれば、米国は広範囲にわたって対応すると思われることを知っている。先月、米国はB-52爆撃機をこの地域に派遣し、米空母「ニミッツ」をファクリザデ氏の暗殺の数日前にペルシャ湾に配備した。米海軍は当時、今回の配備は具体的な脅威とは無関係だと発表していた。イスラエル軍も先月、厳戒態勢に入っており、ニュースソースが今週報じたところによると、イラク、シリア、レバノンの親イラン派民兵が、トランプ政権の最後の数週間、イスラエルによるさらなる攻撃に備えるよう、イラン政府から連絡を受けたという。

トランプ氏は、自国で選挙結果を覆すことができなかったため、国外で危機を引き起こし、新大統領が就任する前に外交政策の課題を残すかもしれない。そして、ソレイマニ氏の殺害から1年が経とうとする中、イランはこの地域の民兵を抑制する方法を見つけなければならない。今後数週間は、本気の挑発は流血を伴う衝突につながる可能性があるため、この地域にとって極めて重要だ。

  • オサマ・アル=シャリフは、アンマンを活動拠点にしているジャーナリスト・政治評論家。Twitter: @plato010
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