
パリ:選手に対するSNS上の誹謗中傷について調べるために東京オリンピックの期間中に実施された調査の結果について、世界陸連のセバスチャン・コー会長は「憂慮すべき事態」と表現した。
今回の調査はネット上の嫌がらせの実態を探るために実施され、東京オリンピックに参加した現役・元選手の161のツイッターアカウント(世界陸連が選んだ200人の選手からピックアップ)が対象となった。
調査は開会式の1週間前に開始され、閉会式の翌日に終了した(7月15日~8月9日)。
その結果、23人のアスリートが誹謗中傷を受けたことが判明し、うち16人が女性だった。特定された132件の投稿のうち、115件が女性選手に向けられていた。被害者全体の87%が女性だった。
特定されたメッセージの63%が、黒人女性のアスリート2人に向けたものだった。
中傷の25%が根拠のないドーピング疑惑で、9%がトランスジェンダーに対する内容、1%が同性愛に対するものだった。
米国の選手は調査対象の23%に過ぎないが、人種差別的な内容の89%が彼らに向けられていた。
誹謗中傷で最多を占めていたのが性差別(29%)と人種差別(26%)であり、特定された投稿の55%を占めていた。
「多くの点において、これは憂慮すべき結果です」と、コー会長は声明で述べている。
「成績や才能を祝福・共有し、それによって人々に勇気を与えている個人が嫌がらせを受けている点に一番衝撃を受けました」
「選手たちが経験した誹謗中傷は計り知れないもので、そうしたことを止めるために全員がさらに努力する必要があります。問題に光を当てたことは最初の一歩にすぎません」
調査期間中、2万3521の画像やGIF、映像を含む24万707件のツイートが補足・分析された。
中傷や攻撃的な画像・絵文字、嫌がらせを伺わせる表現などが監視対象となり、テキストが解析された。
また、AIに基づく自然言語処理も利用し、言葉の関係を理解する(例えば、「殺してやる」と「お前が殺した」を区別することができる)ことで脅迫めいた表現を検出した。
AFP