
ジュネーヴ:世界保健機関(WHO)は、各国はコロナウイルスのオミクロン変異株に関連する旅行措置に「証拠に基づいたリスクベースのアプローチ」を適用するべきだと述べた。国際線の乗客のスクリーニングや検疫などが考えられるが、全面的な渡航禁止ではウイルスの拡散は防げないと指摘した。
WHOは、各国当局と旅行者に向けた最新のガイダンスの中で、罹患や死亡のリスクが高い60歳以上の人と基礎疾患を持つ人には旅行延期を勧告するべきだと述べた。
WHOの広報担当者は、この件は、2020年12月以降に旅行者の予防接種状況にかかわらず60代以上に関して出している勧告に沿ったものであり、ガイダンスに変更はないとした。
1週間前に南アフリカで初めて報告されたこの変異株は、世界で注目され、各国の渡航禁止発令につながった。また、富裕国では大規模なワクチン接種が行われ、開発途上国では接種がほとんど進んでいないという格差が浮き彫りになった。
出発地、中継地、到着地を管理する国家当局は、リスクを軽減するために多層のアプローチを適用し、オミクロン変異株の輸出入を遅延・減少させることが望まれると、WHOは火曜日に述べた。
「その措置には、出発前と到着時のいずれかおよび両方の乗客のスクリーニング、徹底的なリスク評価を経た新型コロナウイルス検査、海外旅行者の検疫の適用などが考えられる」
そして、どのような措置をとるにせよ、リスクに見合い、期限を設けた内容にすべきで、旅行者の権利に配慮して適用される必要があると説明している。
また、「全面的な渡航禁止措置では国際的な拡散は防げない。しかも、それは暮らしと生計に大きな負担をかける」とした。
そして、報道によると、11月28日の時点で約56カ国がオミクロン株の輸入を遅らせることを目的とした旅行措置を実施していると付け加えた。
一方、22人のオミクロン変異株の感染者が確認された英国では、サジド・ジャヴィド保健大臣が新型コロナウイルス感染症の追加接種を予約するよう促している。
後にワクチンがこの変異株に対して効果が薄いことが判明したとしても、追加接種の推進でオミクロン株による重症化を防げると政府は確信しているとジャヴィド保健大臣は語った。
研究者たちが、オミクロン株が感染力と重症化に与える影響の解明を進めている中、保健大臣は2週間以内に新変異株の詳細が明らかになることを望んでいると述べた。
「現時点では感染者数はきわめて少ない」とジャヴィド保健大臣はスカイニュースに語った。「これまでに英国内では22人の感染が確認されており、今後増えていく。必ず増えると予想される」
ロイター