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ガザのテレビスタジオがイスラエルのヒット番組に対し、ハマス版となるドラマシリーズを制作

2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
2021年12月29日、ガザ市で地元のアルアクサTV『カブダト・アルアフラー』シリーズのワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)
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17 Jan 2022 05:01:26 GMT9
17 Jan 2022 05:01:26 GMT9
  • ガザのディレクター、モハメド・ソラヤ氏は言う。「私たちは方程式を反転させて、パレスチナ人側の視点を示したいのです」

ガザ市:イスラム武装組織ハマスが実効支配するガザ地区内テレビスタジオには、イスラエルの国旗、ヘブライ語の書類が置かれ、壁には近代シオニズムの父であるセオドア・ヘルツルの肖像画が飾られている。

敵国イスラエルのセキュリティ・サービスのオフィスを模したこのスタジオでは、イスラエルとパレスチナの紛争をテーマにした『プロ・レジスタンス』のテレビシリーズの撮影が行われている。

これは、Netflix、HBO、Apple TV+などのプラットフォームで何百万人もの視聴者を獲得している特殊部隊ドラマ『ファウダ -報復の連鎖-』などのイスラエルのヒット番組に対する、ハマスの回答となる。

アラビア語で「混沌」を意味する「ファウダ(Fauda)」は、司令官ドロン・カビリオが率いる軍の部隊による、パレスチナ自治区内でのテロリストとの抗争を描いている。

2022年1月10日、ガザ市内のスタジオで『カブダト・アルアフラー』のワンシーンを撮影するパレスチナ人俳優とスタッフ。セットには、近代政治シオニズムの創始者であるセオドア・ヘルツルの肖像画が飾られている。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)

イスラエルに封鎖されているパレスチナ沿岸部にあるガザでは、「ファウダ」を見たことを認めるのはよくないアイデアだと、地元の監督モハメド・ソラヤ氏は言う。

イスラエルのテレビシリーズを見ることは、ユダヤ国家との関係の「正常化」を支持することを意味する、とソラヤ氏は主張した。

ソラヤ氏は、ガザ市のスタジオでAFP通信の取材に応じ、こうした番組は「パレスチナ人を犯罪者扱いしている」ため、「シオニストの占領を支持している」と主張した。

「我々は、パレスチナ人側の視点を示し、我々の抵抗の精神についてのドラマを放送するために、この方程式を反転させたいのです」

ハマスは、イスラエル、米国、欧州連合からテロ組織とみなされている。イスラム教組織であるハマスは、人口230万人の貧困地域であるガザ地区を支配している。

また、アルアクサ・チャンネルを運営しており、ハリウッドや中東で人気のあるトルコのソープオペラにヒントを得たシリーズに投資している。

現在制作中のシリーズ『カブダト・アルアフラー(自由の拳)』は、2018年にイスラエルがガザ地区で行った作戦により、ハマスの戦闘員7人とイスラエル軍将校1人が死亡した事件を再考するものだ。

主人公は、2008年以降、ユダヤ国家に対して4回の戦争を行ってきたハマスの戦闘員たちである。

少数民族であるアラブ系イスラエル人の俳優を起用することが多いイスラエルの作品とは対象的に、ガザ地区の作品にはイスラエル人の俳優は一切起用されていない。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)

制作チームは、イスラム教の聖月であるラマダンに間に合うように、4月までに約30のエピソードを配信することを目指している。

少数民族であるアラブ系イスラエル人の俳優を起用することが多いイスラエルの作品とは対象的に、ガザ地区の作品にはイスラエル人の俳優は一切起用されていない。

そのため、制作スタジオはイスラエル人を演じるために現地の俳優を採用せざるを得ず、出演者たちはこの仕事が現実の敵意や危険にさらされる可能性があると語っている。

その一人、ジャワド・ハロウダ氏は、60代前半のハスキーな声の持ち主で、新TVシリーズでイスラエルの内部安全保障機関のシン・ベット長官を演じている。

キャラクターになりきるためにハロウダ氏は「台本を読み込んだ」と言うが、役に説得力を持たせすぎるとトラブルの元になると付け加えた。

「女性の中には私を見て、死んでほしいと祈る人もいます」と、シン・ベット長官事務所のセットで長官の椅子にもたれかかりながら語った。

「侮辱されると嬉しいですよ。それは私が成功したということですから・・・・・・俳優はカメレオンのようなもので、すべての色を演じることができなければなりません」

ガザの作品では、イスラエル人の登場人物はアラビア語で話す。また、ハマスのムフティ(イスラム法学者)の要請により、女性はたとえユダヤ人役であってもヘッドスカーフを着用する。

パレスチナ人女性の俳優は、たとえ映画の中でイスラエル人女性の役を演じていても、ヒジャブを着用する必要がある。(マフマド・ハムズ撮影/AFP)

「あるシリーズで、私はユダヤ人女性を演じました」と、女優のカミラ・ファデル氏は言うが、彼女は自分の演技がほんの少し説得力を持ちすぎていたかもしれないと付け加えた。

「そのシリーズが放送された後、ある女性が私の首を絞めようとしたのです」

「彼女は私にこう言いました。『あなたが憎い、あなたは私たちをこんなにも傷つけている』と。別の日には、13歳の少年が私をユダヤ人だと思って頭に石を投げたこともありました・・・・・・つまり、私は自分の役割をきちんと果たしたということです」

しかし、同地域の全員が、紛争に大きく焦点を当てたハマスのプロダクションの作品ファンというわけではない。

パレスチナ人の映画監督で評論家のジャマール・アブ・アルクムサン氏は、このドラマには「愛がない」と主張し、地元での希少な作品が主に「抵抗の道具」として機能していることを残念に思っている。

同氏は、このような作品がパレスチナ人の物語を伝える可能性は非常に大きいが、課題も多いと語った。

「ガザでは封鎖された状態で生活しており、これは世界でも類を見ない状況です」。将来小さなフィルムライブラリーにしたいと考えているアートギャラリーにて、彼は語った。

「だからこそ、プロデューサーは質の高いシリーズに投資し、世界に向けて私たちの物語を発信する必要があります。私たちには既に素晴らしい俳優たちがいます。あとは良い監督と意思が必要なのです」

今のところ、アブ・アルクムサン氏は、このような番組が与える影響についてはわからないと述べている。

「テレビドラマは武器になりますが、イスラエルを前にしては、地元の制作物はレベルが低いと言わざるを得ません」

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