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エジプトのスタートアップ企業、キリム製作で成功する

28 Dec 2019
Kiliimは、伝統的工芸品キルムが現代人の好みに対応する必要性があることに気づいた創業者が、2016年に発足させた。 (他社供給)
Kiliimは、伝統的工芸品キルムが現代人の好みに対応する必要性があることに気づいた創業者が、2016年に発足させた。 (他社供給)
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Updated 28 Dec 2019
28 Dec 2019

Triska Hamid

カイロ:Ibrahim Shamsとグラフィックデザイナーを務める彼の妻Noha El-Taherが、自分たちの赤ちゃんの娘の部屋を飾り付けしていた際に、何か伝統的な装飾を部屋に加えたいと考えた。それがキルムの敷物だった。

しかし店頭で見かけるものはデザインが古臭く、ほとんどのものが安物の布を使った中国製だった。

現代人向けの伝統工芸品の市場に物足りなさを見出したその夫婦は、自分たちのビジネスKiliim 社を立ち上げることにした。この会社は平織り技法による地元の伝統工芸品を復活・保存していく社会的企業/ライフスタイルブランドである。

キルムの起源には幾つかの説がある。古代エジプトの王族のための工芸品だったという説もあれば、オスマントルコ帝国に由来するという説もある。

「ナイルデルタにFowwaという小さな村があり、その村がキルムの産地として非常に有名でした」とShams は言う。「しかし、観光業が落ち込んでいくにつれて、その産業もすたれていったのです」

この夫婦はFowwa へ足を運んで機織り職人たちと会うことから始め、やがて最も「意欲的な」人々たちの働く機織り場を拠点とするようになった。

「みんなこの工芸品に関して非常に悲観的で、今から10〜15年後には機織り職人は一人も残っていないだろうと言っていました」とShams は語る。

Kiliim は2016年に4人の機織り職人と共に創業した。職人たちは全員Fowwa 村で生まれ育ち、父親や祖父たちからその技術を受け継いでいた。

Kiliim は職人と提携関係を結んでおり、従業員として雇用する形態をとっていない。各職人は、主任格の職人の所有する機織り場で作業し、自分の作った製品に対して報酬を受け  取る。

創業から1年後、KiliimはMITアラブスタートアップ競技会 の社会的企業部門で優勝し、5万ドルを勝ち取った。

2003年の時点では約2千人のキルム職人が存在していた。今ではそれが300人以下となっている、とShamsは言う。機織り職人たちの収入の多くは観光業に依存しているのだ。

2010年のピーク時には、エジプトの観光業は国内総生産の11%を占めていたが、これは2011年1月25日の革命前の話だ。しかし、その社会不安が起こると、観光客の数は急速に減少した。

「Fowwa 村の人々はいつも、エジプトの国と伝統を象徴する土産物として、キルムをSharm El-SheikhやHurghadaといった観光地へ販売していました」とShamsは語った。

「彼ら機織り職人たちが気づいていなかった点に我々はビジネスチャンスを見つけました。つまり、デザインと素材、そして製品の出来上がり全体がもはや現代人受けしていなかったのです」と彼は言う。

「職人たちはおきまりの柄とスタイルを持っていましたが、斬新さに欠けており、さらに不況が追い打ちをかけました」

デザイン分野の経験・知識を持つEl-Taher は、自らのスキルを使って新たな柄を生み出し、ビジネス的にもFowwa の村にとってもより良いブランディングを作り出した。機織り職人たちは新しいデザインについて最初は乗り気ではなかったが、やがて前向きに取り組むようになってきた。

「最初はすべてがなにかと大変でした。すべて自分たちの私財で賄っていましたから」とShams は言った。

「最初は本当に厳しい状況でした。我々はオンラインビジネスなのですが、多くの人たちが実際にここへやって来て直に敷物を見たり触れたりしたがりました。それが創業当初の苦労でしたね」

直に見ないで敷物を買うというのは、消費者にも抵抗があったのだ。そこで彼ら夫婦は無料の自宅でのお試し期間を提供し始めた。

「様々なデザインの中からいくつか選びとり、我々がそれらを彼らの自宅へ送り、どれが一番ふさわしいかを実際に見てもらうのです」とShams は言った。

このサービスによってお試しから購入に至る率は80%となり、開業から最初の2、3年で実際の店舗を持つ必要性はなくなった。

2020年の第1四半期中に、彼らの最初のリアルショップをオープンする計画で、仮想シ ミュレーターによるお試し経験のデジタル化プランも企画中だ。

「僕たちは、興味のある人々にこの工芸品の作り方を教える学校を始めたいという考えも もっています。さらにインターンシッププログラムを設けて、機織り職人たちから直に学び、製作チームに加わるチャンスを与えたいと思っています」とShams は語った。

このレポートはミドル・イースト・エクスチェンジ( Middle East Exchange)のパートナーであるアラブニュースによって出版されています。ミドル・イースト・エクスチェンジは、 ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム グローバルイニシアチブ、およびメリンダ・ゲイツ財団によって発足され、アラブ首長国連邦首相兼ドバイ首長国頭首のビジョンを反映してアラブ地域の事情を変えていく可能性を模索するプロジェクトシンジケート です。

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