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大谷翔平はアメリカに適応した「メイド・イン・ジャパン」

2022年7月16日土曜日、カリフォルニア州アナハイムで行われた対ロサンゼルス・ドジャース戦で、ウォーミングアップ終了後、フィールドを歩いているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。(AP)
2022年7月16日土曜日、カリフォルニア州アナハイムで行われた対ロサンゼルス・ドジャース戦で、ウォーミングアップ終了後、フィールドを歩いているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。(AP)
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19 Jul 2022 12:07:32 GMT9
19 Jul 2022 12:07:32 GMT9
  • 日本の野球に関するベストセラーを書いたアメリカ人のロバート・ホワイティングは、大谷を150年にわたる野球の進化の結果と見ている。

東京:大谷翔平が他のどの選手もやったことがないことを成し遂げていることは、藤澤文洋のような日本人にとって誇りである。

藤澤はアメリカ野球学会(SABR)の日本版であるアメリカ野球愛好会の会長である。だから統計を知っている。しかし、アメリカンフットボールのタイトエンドのような体格をしている大谷を理解して受け入れるのに苦労している。

「この5年で大谷の体は大きくなり、強くなりました。私たちは大谷がアメリカ人になったと思っています。もはや日本人ではありません」と藤澤は言う。

身体的な変化があり、成熟度が増し、文化的に適応した。しかし、大谷は、間違いなく、日本の地方に深く根を下ろした100パーセント「メイド・イン・ジャパン」である。

日本の野球に関するベストセラーを書いたアメリカ人のロバート・ホワイティングは、大谷を150年にわたる野球の進化の結果と見ている。1872年、東京に在住していたアメリカ人の教授が「field ball」を意味する「野球」と日本で呼ばれている競技を紹介した。

大谷は二人の画期的な選手が歩んだ道をたどっている。一人は1995年にドジャースに入団した野茂英雄投手。もう一人は3,000本以上のヒットを放ち、有資格者となる2025年に野球殿堂入りする可能性が高いスズキ・イチローだ。

だが、この二人の選手も、他の日本人選手も、限定的な修飾語を伴って語られるのが常だった。野茂が優秀な成績を収めたとき、一部の人は野茂を「投手としては」と片付けた。日本人はピッチングはできる。ピッチング技術は優れている。だが、野手としては成功できない。そこにイチローが現れた。まあ、ヒットは打てるけど、パワーがない。

そして大谷が登場した。大谷はピッチャーであり、打者としてのパワーもある。二人ではなく、一人の選手がそれをやってのけている。注釈も脚注も必要ない。

「大谷はアメリカ流のやり方でアメリカ人選手を打ち負かすことができるし、相手がラテンアメリカ人選手でも同じことです」と、ホワイティングはAP通信に語った。「とにかく、大谷は大半のアメリカ人選手より大きいのです。大半のアメリカ人選手より強いのです。しかも、5日おきに登板し、毎日上位打線としてヒットを打っています。去年と今年の活躍だけをもってしても、大谷は史上最高の野球選手だと主張することができます。大谷は、上位10人に入る打者かつ上位10人に入る投手として毎年MVPを獲得するのにふさわしいと言えるでしょう」

火曜日夜のオールスターゲームで大谷が1番・指名打者として打席に入ることについて、アストロズの監督であり、オールスターゲームでアメリカンリーグの監督を務めるダスティ・ベイカーは異論を唱えていない。

「大谷は単なるオールスターではなく、メガスターです」とベイカーは言う。

ホワイティングは、スポーツというプリズムを通して日本文化を考えるベストセラー『You Gotta Have Wa』の著者である。もう一つの著書『野球のサムライ道』では、2019年に引退するまで日本の最も有名な野球選手だったイチローの軌跡を追っている。この著書には『イチローであることの意味』という題名も付いていた。

大谷は、県下の大半が農村地域である東北地方、岩手県の花巻東高校の練習が厳しい野球部で頭角を現した。ブルージェイズの菊池雄星投手は、大谷の少し前に同じ高校に通っていた。

10代の頃、大谷は自分の目標を81個のマスにまとめた目標設定シートを作成した。段階的なプロセスは日本でよく知られており、大谷独自のシートも有名だ。そのシートに大谷は野球の改善点をリストアップしているが、そこには精神面の目標や個人的な目標も含まれている。

改善するためには、とりわけ本を読み、部屋を掃除し、スライダーを改善し、直球の球速を160km/h台まで上げ、信頼される人間になる必要があると大谷は明記している。

「大谷は、武道に端を発するこの日本式トレーニングシステムで育成され、野球チームに所属して1年中野球をやっていました。アメリカと違って、野球はある季節に限られたスポーツではないのです」と、60年にわたって断続的に日本に住んでいるホワイティングは言う。

「高校1年生のイチローは、おそらくチーム最高の選手だったでしょうが、プレーすることはできませんでした。洗濯や炊事をする必要があったからです。真夜中に起きて、素振りの練習をしていました。大谷も同じです。高校1年生のとき、大谷はトイレ掃除をしていました」

これは、それほど珍しいことではない。日本の公立学校は清掃スタッフが少ないので、規律と謙虚さを学ぶために生徒が掃除をしている。

イチローは、日本文化の慣習をしょっちゅう平然と無視する激しい一面を持っていた。日本語の「出る杭は打たれる」、つまり「浮き上がった釘はハンマーで叩かれる」という言葉がイチローの特徴をとらえている。

大谷は、その反対で、礼儀正しく、話し方が物柔らかで、控えめであり、集中の対象は野球だけに見える選手だ。社交生活に関するニュースもほとんど見ない。

「この男は野球に全身全霊を傾けているのです」とホワイティングは言う。「大谷を現代の戦う修行僧と呼んでも過言ではないでしょう」

AP

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