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W杯イラン代表、国歌斉唱を拒否しデモへの支持を表明

カタール2022ワールドカップ・グループBの対イングランド戦を前にポーズを取るイラン代表チームの選手たち。2022年11月21日、ドーハのハリーファ国際スタジアム。(AFP)
カタール2022ワールドカップ・グループBの対イングランド戦を前にポーズを取るイラン代表チームの選手たち。2022年11月21日、ドーハのハリーファ国際スタジアム。(AFP)
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23 Nov 2022 03:11:56 GMT9
23 Nov 2022 03:11:56 GMT9
  • ハリーファ国際スタジアムに国歌が流れる中、スターティングメンバー11人全員が沈黙を通した

ドバイ:ワールドカップのイラン代表チームは21日、イングランドとの初戦の前の国歌斉唱を拒否した。同チームは先頃、イランで今も続くデモに対する体制の暴力的な弾圧を支持しているとして国内の多くのファンに批判されていた。

マフサ・アミニさんという若い女性がイスラムの厳格な服装規定に従っていないとして逮捕された後に死亡した2ヶ月前の事件をきっかけに、イスラム教シーア派神政体制の打倒を要求するデモがイラン全土に広がっている。

イランでは何十人もの著名人、アスリート、アーティストがデモへの連帯を表明している。

しかし、サッカーのイラン代表チームはそれに加わっていなかった。

国歌が流れる中チームメンバー全員が沈黙を通した21日までは。

イラン国営テレビは、アラビア湾を挟んですぐ向かいの国カタールでの試合前に国歌斉唱のために並んだ選手たちを映さなかった。

他の国のワールドカップ代表チームがピッチでの戦術に完全に集中している中、イラン代表は、同国のイスラム教シーア派神政体制を揺さぶっている反政府デモに否応なく影を投げかけられた。

この試合までは、自分たちの国であらゆる階層の人々が参加しているデモへの支持を表明したイラン選手はいなかった。この国のエリート聖職者層にとって、一連のデモは1979年のイスラム革命以来最も持続的な挑戦の一つとなっている。

過去には、イランのサッカーチームは国内各地で熱狂的な愛国心の源泉となっていた。

デモのさなかにある現在は、ワールドカップは辞退すべきだったと多くの人が思っている。

チームはドーハに向け出発する前に強硬派のイブラヒム・ライシ大統領と面会した。

街頭のデモが激化する中、同大統領と一緒に写った選手らの写真(一人は大統領に頭を下げている)がソーシャルメディアで拡散し、非難の声が上がっていた。

大学生のエルミラさん(24)は、試合前にテヘランから電話で次のように語った。

「複雑な気持ちです。サッカーは好きですが、イランで子供たち、女性たち、男性たちが殺されているのだから、代表チームはプレーすべきではないと思います」

「イランのチームではなく、イスラム共和国のチームです」

「連帯を示す」

「自分たちが国民の一部であることを示すために、また(デモの最中に)体制に子供を殺されたイランの母親たちへの連帯を示すために、ワールドカップへの参加を辞退することもできたはずです。たとえ参加を強制されたとしてもプレーを拒否できたでしょう」

活動家組織「HRANA通信」によると、19日の時点で未成年58人を含むデモ参加者410人が死亡している。

また、治安部隊員も約54人が死亡しており、逮捕者は少なくとも1万7251人に上るという。

当局はこれ以上の死者数の推計を発表していない。

イラン国民が特に怒っているのは、世界中のアスリートがイランのデモを支持する声を上げているのに、イランのチームがほぼ沈黙していることに対してだ。

高校生のセタレさん(17)は、北西部の都市オルーミーイェから電話で次のように語った。

「サッカーをするのが彼らの仕事であることは分かりますが、イランで子供たちが殺されているのだから、国民への連帯を示すべきでした。特に、イングランド代表が(連帯を示すために)膝をつこうとしている時に、イラン代表が連帯を示さないことが許されるでしょうか」

「イランでデモが行われており、体制が人権を侵害しているのですから、FIFAはイラン代表の出場を許可すべきではありませんでした。でも許可しました。それでもイラン代表はデモへの連帯を示すために行くのをやめるべきでした」

ワールドカップ観戦のためにカタールに行ったイランのファンの中には、デモへの連帯を隠さない人もいた。

彼らはデモを支持するために「女性・命・自由」と書かれた横断幕を持っていた。

あるイラン人女性は「イランに自由を!街頭で子供たちを殺すのをやめろ!」と叫んだ。

顔にイラン国旗の色をペイントした別のイラン人女性は、イランはサッカー狂いの国だと語った。

「しかし今年は全てが違います。私たちの関心はこの革命で人々が自由を取り戻すことです。恐怖を感じることなく通りを歩き、好きなことをして好きな服を着て、言いたいことを言う自由をです」

首都テヘランでは、怒ったデモ参加者たちが代表チームの横断幕を燃やした。

チームの成功を願うイラン人もいる。テヘランのゼイナブ・モハマディさん(21)は、ソーシャルメディア上で選手たちを応援する他のサポーターたちに同調して、「家で友達と試合を見るつもりです。イラン代表が勝つよう祈ります」と語った。

しかし、デモの最中に殺された子供たちの写真がツイッター上でイラン国民に広くシェアされており、それらの写真には「彼らもサッカーが好きでした。

でもイスラム共和国によって殺されてしまったのです」といったメッセージが添えられている。

イラン南部の大学生ハミドレザさん(19)は次のように語った。

「彼らは国のために危険を冒して体制に殺されました。代表チームも危険を冒して国民への連帯を示すべきです」

「国民のために、イランのために、この数ヶ月で体制に殺された子供たち、男性たち、女性たちのために、カタールで私たちの声となってほしい。

イラン代表チームなら連帯を示すべきだ」

ロイター

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