
ジョン・ダーデン
リヤド: 昨今のサウジアラビアのサッカー界では大きな話題がいくつかあったが、クリスティアーノ・ロナウド氏がサウジアラビアのサッカークラブ、アル・ナスルと契約したことに勝るものはないだろう。
カタールワールドカップでのサウジアラビアによる対アルゼンチン戦勝利は、サウジアラビアのサッカー史において間違いなく最高の瞬間だけあって、決して忘れられることはないだろう。
一方、同国内サッカーに関するニュースとしては、ポルトガルの伝説的選手であるロナウド氏のロシュン・サウジ・リーグ(サウジ・プロフェッショナル・リーグ)への加入に匹敵するものはないだろう。
世界史上最高の選手の一人であるロナウド氏がリヤド、ジェッダ、ダンマームなどで活動するのは、今後数週間、数ヶ月、もしかすると数年にわたり続き、地球上のあらゆる場所から何億人もの人々の目を集めるかもしれない。
これは単にサウジアラビア国内のサッカー界だけでなく、サッカー界全体において最大のニュースの一つである。誰もが予期しなかったことだが、現に起きたことだ。忘れられない道のりが始まることは間違いない。
ロナウド氏の契約期間は2年間。契約先のアル・ナスルはリヤドに拠点を置く大手サッカークラブだ。その後、2030年まで同クラブのアンバサダーに就任すると報じられている。
History in the making. This is a signing that will not only inspire our club to achieve even greater success but inspire our league, our nation and future generations, boys and girls to be the best version of themselves. Welcome @Cristiano to your new home @AlNassrFC pic.twitter.com/oan7nu8NWC
— AlNassr FC (@AlNassrFC_EN) December 30, 2022
ロナウド氏のサウジ移籍の噂がピークに達したワールドカップ期間中、アル・ナスルのルディ・ガルシア監督は、スポーツ史上最高の選手の一人と仕事ができることに期待と興奮を抱いていることを明かした。
監督は次のように述べた。「クリスティアーノのような偉大なスターを指導できることは、どのようなコーチにとっても喜ばしいことだろう。
優秀な選手は頭も良いので、監督しやすいと常々思っていた」
スターであるロナウド氏は、どこへ行こうと注目の的となる。彼は、インスタグラム随一の人気者だ。サッカー選手やスポーツ選手の中での話ではなく、一人物としてである。同氏のフォロワー数は5億人を超えている。
そのうちの10%がアル・ナスルでの彼の活躍に興味を持つだけでも、サウジ・プロフェッショナル・リーグは世界で最も注目を集めるリーグの一つになるだろう。
ロナウド氏の署名と契約の締結により、アル・ナスルは世界で最も話題にのぼるチームの一つとなった。
マーケティングの面では、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、ユベントスを遍歴してきたロナウド氏の右に出るものはいない。
同氏がプレーするスタジアムはどこも満員となる。記者席は国際色豊かになり、ソーシャルメディアは何十カ国語もの投稿で熱狂に満たされるだろう。
サウジアラビアには何年も前から卓越した選手が移っており、今リーグで活躍するスター選手も現にいるが、今回ほどの契約はこれまで同国にはなかった。
アジアでも前代未聞のことだ。過去10年間、中国サッカー・スーパー・リーグは大スター選手の獲得に巨額を投じてきた。カルロス・テベス氏、ニコラ・アネルカ氏、ディディエ・ドログバ氏、オスカル氏などの有力選手を獲得してきた。だが、サウジ・プロフェッショナル・リーグへのロナウド氏加入は別次元だ。
同氏の功績は繰り返す必要がないほど広く知れ渡っているが、あまりの多さにそのいくつかは忘れられがちである。
イングランド、スペイン、イタリアを遍歴し、その間にバロンドールを5回、チャンピオンズリーグを5回制覇し、また、同リーグタイトルを7回獲得した。
2016年の欧州選手権ではポルトガル代表チームを優勝に導いた。その他にも様々なカップやトロフィーを授与されており、同氏のトロフィーケースは満杯だ。
ワールドカップで一定の好成績を収め、サウジ・プロフェッショナル・リーグの国際的地位が高まっている今、同氏の存在によって、リーグはこれ以上にないスポットライトを浴びることになる。
サウジアラビアの対アルゼンチン戦勝利は世界中で話題となった。しかし、ポーランド戦では2-0の敗戦、メキシコ戦では2-1の敗戦と、残念な結果に終わった。浮き沈みの激しいグループだったが、サウジアラビア代表の才能は世界中のサッカーファンに知られた。チームは終始一貫他チームに引けをとらず、大会で勝ち進む可能性があった。
サレム・アル・ドサリ氏、サーレハ・アル・シェフリ氏、モハメド・カンノ氏など、サウジアラビアに才能ある選手がいることは、今や一般的に認識されている。
それだけでなく、トップクラスの外国人選手も多数在籍している。アル・ナスルで、ロナウド氏は、ワールドカップ大会ブラジル戦でカメルーン代表として決勝点を挙げたヴァンサン・アブバカル氏、2018年南米年間最優秀選手に選ばれたピティ・マルティネス氏、コロンビア代表GKダビド・オスピナ氏、ブラジル代表アンダーソン・タリスカ氏、そしてワールドカップ大会サウジアラビア代表の6人とともに戦うことになる。数多くの欧州サッカーチームと対峙することになるチームである。
リオネル・メッシ氏がまもなくアメリカのメジャー・リーグ・サッカーに移籍することが予想されるなら、ロナウド氏のサウジ・プロフェッショナル・リーグへの移籍も驚くにはあたらないだろう。サウジ・プロフェッショナル・リーグはアジア最高のリーグとなりうるからだ。そのうえ、アジアはワールドカップ決勝トーナメントに進出した16チームのうち3チームを輩出した大陸だ。
ロナウド氏は、衝撃的なテレビインタビューの後、マンチェスター・ユナイテッドから契約を解除され、フリーとなった。その是非はともかく、このインタビューが世界中で騒がれたことは、同氏の世界的な活躍を物語っている。
37歳という年齢を考慮すると、イングランド・プレミアリーグではシーズン当たり38試合あるのに対し、サウジ・プロフェッショナル・リーグの試合数は30であるという事実は、ロナウド氏にとって歓迎すべきニュースだろう。
全盛期のような活躍はできないものの、なおも驚異的な体力を誇り、昨シーズンのイングランド・プレミアリーグでは18得点を挙げた。
場外で波風を立てることもなるだろうが、その責任を負うこともできる。
サウジ国内組の選手にとって、究極のプロフェッショナルから学ぶ絶好の機会がここにある。
クリスティアーノ・ロナウド氏には、サウジアラビアのサッカー界に功績を残すだけでなく、これを根本的に変える可能性があり、それこそが、彼の疑いようもない技術と同様に、今回の移籍をエキサイティングなものにしている。事態がどう転ぼうと、世界は注目している。