ベイルート:ナジーブ・ミカティ首相兼大統領代行と、エネルギー省を統制する自由愛国運動(FPM)との政治的対立が悪化した結果、レバノンで唯一機能している発電所が停止した。
これにより、レバノンはほぼ完全な停電に陥る恐れがある。
前払いをめぐるトラブルでガスオイルの出荷が遅れたことを受け、EDLとして知られるレバノン電力は、燃料船の荷揚げに必要な信用状を開設し、問題を解決するよう当局に求めた。
発電所の燃料であるガスオイルが不足し、アル・ザハラニ発電所を停止せざるを得なくなったことが、同社の嘆願につながった。
EDLはまた、デイル・アマル発電所に残っている約6,000トンの燃料は、同発電所の蒸気タービン全般のメンテナンス作業にしか使えないと述べた。
ある政界関係者は、政治的対立が深まる中で和解の可能性は低く、さらなる政府の機能麻痺や他の不可欠なサービスへの影響が生じる可能性が高まっていると述べた。
FPMの閣僚は2009年以来、エネルギー省を監督している。
同省は、レバノンの各地域に毎日1時間の電力を供給し、さらにラフィク・ハリリ国際空港と国家の重要施設に、さらに数時間の電力を供給するべくEDL社の生産工場のニーズを満たすために、ガスオイル船を提供してきた。
しかし同省は、資金を確保できないため、6万6,000トンの軽油を購入するために6,200万ドルの前払いを求めている。
エネルギー省の入札記録によると、昨年12月に軽油の荷揚げが予定されていたのもの、国庫前払い令が発行されなかったため、手続きが遅れている。
ミカティ氏は前払いのための緊急政令を承認することを拒否している。
同氏の顧問であるファリス・アルジャミール氏はアラブニュースに対し、前払いには内閣の承認が必要だと述べた。
さらに、EDLは前金の返済方法を説明する必要があり、これまでにレバノン政府が負担した400億ドルの前金に上乗せされることがあってはならない、と述べた。
レバノン中央銀行は、国庫金の前払いを許可する前に、EDLが資金を返済する用意があることを書面で約束するよう要求していた。
しかし、EDLは前払い請求の際に誓約書を提出しなかった。
政府内の対立が深まり、FPMが大統領の空白を理由に閣議開催を拒否していることが、前払い請求の手続きを行うにあたって障害となっている。
ある政界関係者によると、エネルギー省チームはミカティ氏に閣外での決定を迫っており、一方同氏は、閣議で決定することで自らの地位を確立したいと考えているとのことだ。
この間、3隻のガス油船が沖合に停泊したままであるため、遅延損害金が発生し、1日の損失額は2万ドルに上るとみられている。
ワリード・ファイヤド・エネルギー相は、停泊に対する罰金はこれまでで30万ドルを超えたと主張した。
同省の元局長であるガッサン・バイドゥン氏は、この罰金により国家が被った損失について、同省は説明責任を負っていると述べた。
同省を引き継いだFPMの大臣たちは、資金がない中で外部委託や契約を行うことに慣れており、その結果、国が被った罰金は相当なものになったという。
入札を監督する公共調達局のジャン・エリエ局長は、エネルギー省の取引は法的根拠なく行われており、エネルギー相らはその違反を隠すために法律を破っていたと述べた。
木曜日にベイルートで開かれた緊急労働組合会議は当局に対し、遅滞なく大統領を選出し、国の救済プログラムを直ちに立ち上げるよう求めた。
自由職業組合、一般労働組合、教育協会、教師シンジケートの代表は、「憲法と国家の義務を速やかに遂行しない 」役人に対して行動を起こすよう呼びかけた。