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日本企業がアラブヘルス見本市に出展

UAEのドバイ・ワールド・トレード・センターで開催されたアラブヘルス2023。(アラブヘルス)
UAEのドバイ・ワールド・トレード・センターで開催されたアラブヘルス2023。(アラブヘルス)
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03 Feb 2023 08:02:40 GMT9
03 Feb 2023 08:02:40 GMT9

アラブニュース・ジャパン

1月30日から2月2日までアラブ首長国連邦のドバイ・ワールド・トレード・センターで開催されたアラブヘルス2023には、70カ国から3,000社以上が参加した。

主催者であるInforma Marketsによると、1975年に初めて開催されたこの見本市は、「ヘルスケアにおけるイノベーションと持続可能性」をテーマに掲げており、MENA地域のヘルスケア分野における成長機会を紹介している。

この見本市では、消耗品、整形外科、ヘルスケア・一般サービス、イメージング、医療機器、IT、ウェルネス・予防、インフラ、資源の9つの製品分野で、最新技術とイノベーションを紹介している。

また、内科、小児科、麻酔・疼痛管理に関するカンファレンスも、2023年に新たに追加となった。

ジェトロが主催するアラブヘルスのジャパンパビリオン。(ANJP写真)

アラブヘルスのジャパンパビリオンでは、「ジャパニーズ・クオリティ」というスローガンのもと、ヘルスケア業界から21社が参加し、この分野における日本企業の躍進をアピールした。そのうち18社はジェトロ(日本貿易振興機構)が主催するジャパンパビリオンで出展し、残りの3社はグループで出展した静岡の企業であった。

ジェトロ海外市場開拓課の宮崎アナスタシア氏は、アラブニュース・ジャパンの取材に対し、日本企業がアラブヘルスに参加するのは12回目であり、わずか6社しか参加しなかった前年と比べ、今年の出展企業数は大幅に増加したと述べた。また、開催期間中にジャパンパビリオンが提供した製品には大きな需要があり、出展企業1社あたりの商談は最多となり、4日間で合計およそ300件の商談が成立したと述べた。



日本の医療技術スタートアップ企業メドメイン、UAEのドバイ・ワールド・トレード・センターで開催されたアラブヘルスにて。(ANJP写真)

そのうちの1社であるメドメインは、ディープラーニングで開発された病理AIによって、高精度な解析結果を高速で提示できる病理AI解析ソリューション「PidPort」を開発・提供している、日本の医療技術スタートアップ企業である。こうした技術は、専門家がリモートで結果にアクセスできるようにすることで医療画像に革命を起こすことを目指しており、これはメドメインの「テクノロジーでいつどこでも必要な医療が受けられる世界をつくる」というミッションに沿ったものである。

静岡の沼津市に本社がある株式会社エイディーディーは、1人で中に座って-120℃のミストに体を包まれながら3分間の冷浴ができるクライオバスを紹介した。

エイディーディーのクライオバスUAEのドバイ・ワールド・トレード・センターで開催されたアラブヘルスにて。(ANJP写真)

クライオセラピー(凍結療法)は、何十年も前からスポーツ選手の疲労回復や医療に使われてきた治療法である。この浴槽は日本製の高品質なものが使われ、現代的な手法を取り入れており、使用者は渦巻く冷たいミストで治療を受ける。 

クライオセラピーは、血液の循環を促進するため、生理的な反応が良好になる。極端な寒さによって血管の収縮が促進され、神経系が体に信号を送り、血流を増加させて皮膚温を上げるよう指示し、その結果として血行が促進されるのである。炎症や組織の損傷に効果があり、スポーツ選手やビジネスマン、高齢者の回復を早めると考えられている。

アラブヘルスに出展するタウンズ、UAEのドバイ・ワールド・トレード・センターにて。(ANJP写真)

同じく日本の企業である株式会社タウンズは、感染症の迅速診断抗原検査キットや高品質な医療用消耗品を静岡で製造する大手メーカーである。

アラブヘルス見本市でいくつかの製品が紹介されたが、なかでももっとも独創的な検査キットの1つに、15分でSARS-CoV-2/インフルエンザA/Bウイルス抗原を検出する迅速検査キットであるSARS-CoV-2/Fluがある。タウンズの担当者によると同社は現在、判定に要する時間を短縮することによって、さらなる改良に取り組んでいるという。インフルエンザとCOVID-19は症状が似ていることから、不確実性が高い現在、この検査キットは重要である。

2つ目のキットは、ヒトと動物の結核の原因菌からなる結核菌複合体によって産生される「MPB64」タンパク質の存在を素早く15分で検出するキットである。

タウンズにはこのほかにも、インフルエンザA型およびB型ウイルス抗原、RSウイルス抗原、アデノウイルス抗原を検出する迅速検査キット製品がある。

シャムス・カマール氏は、タウンズなどの静岡県の企業の代表者の1人として、タウンズの製品は日本全国の医療機関をはじめ、欧州から米国まで世界各国で使用されているが、同社は中東、特にUAEを「活気のある」地域と捉えており、同地域への進出を視野に入れていると述べている。

「静岡県の企業は、日本の良い製品をアラブ諸国に紹介して、供給することができます」とシャムス・カマール氏は述べている。 

この展示会では、企業が自社製品を展示して知識や技能を共有しながら、医学・健康・医療技術の分野における最新動向を知ることができる。日本企業の参加は、UAEと日本の特別な関係や、専門知識を交換するために協力することへの熱意を特に強調するものである。また、将来の高齢化社会の先駆者である日本が、開発された医療サービスや製品を披露することで、後に続く人々にどのように利益をもたらすことができるかも示している。

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