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AIにおけるジェンダーバイアスを対象にしたサウジのキャンペーン

キング・アブドゥラー科学技術大学のキャンペーン「ディアAI」は、AIソフトウェアにおける女性軽視の問題に取り組む
キング・アブドゥラー科学技術大学のキャンペーン「ディアAI」は、AIソフトウェアにおける女性軽視の問題に取り組む
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15 Mar 2023 09:03:48 GMT9
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  • キング・アブドゥラー科学技術大学のキャンペーン「ディアAI」は、AIソフトウェアにおける女性軽視の問題に取り組む

アラブニュース

キング・アブドゥラー科学技術大学(KAUST)は、人工知能(AI)におけるジェンダーバイアスや女性軽視の問題に取り組むため、国際女性デーのキャンペーン「ディアAI」とハッカソンを立ち上げた。

KAUSTが最近AI画像生成ソフトウェアをサーチした際、「起業家を描いて」「発明家を描いて」「ソフトウェアエンジニアを描いて」といったプロンプトを使用すると、返ってきた画像のうち女性は平均1%だった。

しかし世界的に見ると、アーリーステージ起業家の3分の1、コンピューター科学者の20%は女性である。サウジアラビアではスタートアップの45%は女性が経営する会社だ。

KAUSTのコンピューター科学教授で「KAUST AIイニシアティブ」責任者のユルゲン・シュミットフーバー氏は次のように語る。「ジェンダーバイアスは、人工ニューラルネットワークに基づく学習AIシステムの多くでよく知られる難点であり、有色人種の女性に関して特に顕著だ」

「一つの解決策は、適切に選択された偏りのないデータセットを用いてアルゴリズムを再訓練することだ」

これは簡単なことではないが、テクノロジー分野でのキャリアを検討しているサウジの女性が増えており、KAUSTのAIアカデミープログラムの卒業生の47%が女性であるという状況の中、シュミットフーバー氏は楽観している。

「そのこと自体がこの分野に変化をもたらすかもしれない。AI分野で働く女性が増えれば、その当然の副産物として、より偏りの少ない新しいデータセットが作られるかもしれないのだ」

「ディアAI」キャンペーンの開発を担当するエージェンシー「VMLY&R」でクリエイティブディレクターを務めるフェルナンド・ミランダ氏は、「現在のクリエイティブ業界では、AIは興奮か懐疑のいずれかで迎えられている」と語る。

「AIは現実の反映だと思う。AIは我々がそうなれと教えた通りになるのだから。我々のキャンペーンもそういったバイアスを反映している。AIにもっと学べと言うことはできるが、その教育をすべきなのは我々なのだ」

KAUSTは今年の夏、「ディアAI」キャンペーンの一環としてハッカソンを開催する。AIや機械学習を学ぶ学生や科学者がサウジアラビア国内や世界から集まり、これらのツールを再訓練してジェンダーバイアスの影響を軽減することに取り組む。

参加者は人口統計学的なデータセットカテゴリー、使用されるラベル、モデリング特徴などを見直し、訓練用の新しいデータセットを作成する。

サウジアラビア初の男女共学大学であるKAUSTは、特に科学、技術、起業の分野により多くの女性が進むよう促すことに力を入れている。

同大学は女子学生の比率を39%に維持しているが、これはSTEM(科学・技術・工学・数学)教育における女性比率の世界平均を上回っている。また、サウジアラビアの若い起業家や科学者を育成することも使命としている。

KAUSTの起業家育成プログラムは2万4000人以上を育成してきたが、その女性参加率は平均51%だ。また、6年目に入ったMENA(中東・北アフリカ)を拠点とするスタートアップのアクセラレータープログラム「TAQADAM」出身の創業者に占める女性の割合は49%となっている。

「KAUST起業家育成センター」の責任者を務めるハッタン・アフメド氏は、「ここの女性の10分の9が、起業を好ましいことだと考えている」と語る。

「それを反映しているのが、我々のプログラムで育成される人たちのうち、全国から集まった女性たちが50%以上を占めているという事実だ。AIが出力する結果は世界レベルでバイアスがかかり実態と乖離しているだけでなく、我々の地域の実態も反映していない。我々はそれを変えたいと考えている」

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