

東京:審判団は黄金色の一口を何百個もむしゃむしゃと食べながら、究極の「唐揚げ」(「日本の味」として知られるフライドチキン)を容赦無く探し求める。
近年は韓国チキンが世界的に流行しているが、日本では唐揚げが最高位を占めている。
「からあげ」と発音され、名前の由来は調理法からきている。一口大の鶏肉などの肉や野菜を、漬け汁に浸し、小麦粉と片栗粉をまぶして揚げる。
唐揚げは日本の国民食だ。日本で極上の唐揚げを見つける、からあげグランプリを受賞すると、唐揚げの売り上げは3倍にもなり得るのだ。
一部の競合する居酒屋、レストラン、鶏料理屋による不正行為があったという申し立てを受けて、今年の審判員は一般投票から指名制に変わった。
審判員は国中で行われる複数回の試食会に臨む。審判員1人が1日に平らげる唐揚げの量はおよそ1キロだ。
日本唐揚協会専務理事も務める、審判長の八木宏一郎さんは、「ストーリーのある」唐揚げを求めているとAFPに語った。
「第一の味わい、第二の味わいがあり、そして後味がきます」と、「からあげは世界を変える」という標語が書かれた羽織を着た八木さんは言う。
「最初の味わいが香りと風味をもたらしますが、唐揚げが連れ出してくれる旅に本当の喜びがあります」
九州の中津市は日本一の唐揚げを作っていることで有名で、中津の店はからあげグランプリでいくつかの賞を受賞している。
しかし他の地域での競争は熾烈で、優位に立つためにはどんな苦労も惜しまない料理人もいる。
「中津にはたくさん鶏料理屋がありますが、私たちは全てのお店で全種類を試食しました」と言うのは、東京に構える店でからあげグランプリを過去3年にわたって受賞してきた、まつもとたけひろさんだ。
「中津だけではありません。美味しいと言われているお店があれば、そこへ行き、全てを研究して最高のものを見つけます」
14年を迎えたコンテストでは、しょうゆダレ部門、塩ダレ部門などのカテゴリーに分かれて受賞店を決めており、西日本と東日本部門に分かれている。
各カテゴリーの勝者には最高金賞が授与され、その下には複数の「金賞」受賞店もある。
昨年までは優勝者は一般投票によって決められていたが、メールアドレスを大量に作成して不正操作している店があるという噂が流れた。
複数カテゴリーで金賞を受賞した居酒屋チェーンで代表取締役を務める中野和彦さんは、今年のコンペが舌の肥えた審判員によって決定されることを嬉しく思うと言っている。
「昔は食べずに投票することもできました」と中野さんは言う。初めて受賞した2020年以降、お店での唐揚げの売り上げは80%上がったという。
「審判員がいれば、何が美味しいかという基準があります」
審判団は主に、唐揚げに関わる食品産業から選出され、1日に25種類のエントリー料理を試食した。
エントリーした店は商品のプレゼンタイムを5分与えられた。そして審判員は鶏肉の合間に消化を助けるパイナップルを食べた。
「10年以上唐揚げをほぼ毎日食べています。行った唐揚げ屋さんは3,300店です」と自らを唐揚げアイドルと称する、審判員の有野いくさんは言う。
「具合が悪くなったことは一度もありません」
大変な熟考を経て、今週東京で開催される授賞式に審判団は再結集する。
東日本しょうゆダレ部門で最高金賞を受賞した、東京にある「からあげ家奥州いわい」の小山達也店長は、今回の賞はプロによって選ばれたもののため、前回の2つ「よりも意味がある」と話している。
審判長の八木さんは、今回の新しいシステムは上手くいったがお腹がキツいので、来年度は審判団の皿に盛る量を減らすことを誓った。
しかし、優勝者たちが受賞資格を利益に結びつけることに集中できる一方で、八木さんは完璧な唐揚げなど無いのだと語る。
「食べる時の状況によって変わるのです」
「誰と食べるかによっても変わりますし、どう食べるかにもよります。『完璧な唐揚げとは?』という質問は難しい質問です」
AFP