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2022年にもたらされるのは、新型コロナウイルスに対する集団免疫か、さらなるロックダウンや渡航制限か?

世界中の人々が感染やワクチン接種によって免疫力を高めれば、ウイルスには変異を促す圧力がかかり、その結果、将来の変異の脅威が低減する保証はない。
世界中の人々が感染やワクチン接種によって免疫力を高めれば、ウイルスには変異を促す圧力がかかり、その結果、将来の変異の脅威が低減する保証はない。
世界中の人々が感染やワクチン接種によって免疫力を高めれば、ウイルスには変異を促す圧力がかかり、その結果、将来の変異の脅威が低減する保証はない。
世界中の人々が感染やワクチン接種によって免疫力を高めれば、ウイルスには変異を促す圧力がかかり、その結果、将来の変異の脅威が低減する保証はない。
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12 Jan 2022 12:01:07 GMT9
12 Jan 2022 12:01:07 GMT9
  • 年始のお祝い気分がオミクロン株にかき消される中、専門家はパンデミックの最悪の事態を過ぎたのかどうか判断しかねている
  • 多くの政府は、集団免疫の獲得を期待し、高い感染率にも寛容な姿勢を見せはじめている

ジュマナ・カミス

ドバイ:多くの人にとって、年末年始のお祝い気分は、COVID-19の最新の変異株「オミクロン」への懸念と、それに伴うPCR検査、飛行機の欠航、閉鎖の可能性への不安に取って代わられた。

この連休中に流行ったあるミームは、既視感のある言葉で表現されていた。「2022年は『2020年再び(2020 too)』と発音できる」というもので、これは2年前の厳しい規制に戻ることを暗示している。

この言葉はすぐに現実のものとなった。オミクロン株によってコロナウイルスの感染者数が過去最高になった後、多くの国では屋内での集まりや旅行の制限が強化され、またいくつかの国では部分的、あるいは全面的なロックダウンが実施されている。

その結果、全世界で8,000便以上の航空便が欠航となり、民間航空業界は新たな経済的打撃を受けている。新年を祝うために予定されていたイベントやコンサート、集会なども中止されている。

新たに出現した優勢なウイルスによって引き起こされた混乱に加えて、フランス、イスラエル、キプロスでは、より感染しやすいワクチン耐性を持つウイルスが出現したという報道もあり、多くの人々が集団免疫という考え方に身をゆだねる時が来たのではないかと考えはじめている。

「もし集団免疫が存在するとすれば、その獲得方法は2つです」と、米国の代表的医療機関、メイヨー・クリニックのワクチン研究グループの共同ディレクターであるリチャード・ケネディ博士はアラブニュースに語る。「1つは、広範囲な感染。2つ目は、広範囲のワクチン接種です」

さらなる規制や経済回復の妨げになることを警戒して、いくつかの政府は、おそらくは集団免疫を期待し、高い感染率にも寛容な姿勢を見せている。しかし、使い古された言葉にあるように、希望は戦略ではない。

「広範囲の感染に頼るのは非常に良くないアイデアです」とケネディ博士は言う。「感染すると、症候性の疾患、入院、死亡を引き起こし、さらに多くの変異株を生み出すことになります。実際、変異株が発生するのは、誰かが感染したときだけなのです」

「人の命、人の苦しみ、社会の混乱といった複合的なコストを考えると、単純に割に合いません。特に、この戦略では、必然的に発生する変異株の特性によっては、パンデミックを長引かせたり、悪化させたりする可能性が高いのです」

また、博士によれば、世界中の人々が感染やワクチン接種によって免疫力を高めれば高めるほど、ウイルスには変異を促す圧力がかかり、その結果、将来の変異の脅威が低減する保証はないということである。

「このウイルスは、生存と増殖のために人間の細胞を必要とする微細な寄生体です」と博士は説明する。「感覚や感情もなく、感染した人の生死も気にしません。遺伝的にプログラムされたことを実行するだけです」

とはいえ、より穏やかな変異型が優勢になるという生存戦略上の利点も存在する。あるウイルス株がすぐに患者を死なせてしまうと、他の宿主に感染するまでの時間が短くなり、自らの生存が脅かされることになるからだ。

一方、オミクロンのような、比較的重症化率の低いタイプの変異株は、「誰かに感染し、増殖し、新たな被害者に広がるという面で、優れた働きをします」とケネディ博士は語る。

専門家によれば、各国政府はオミクロンに対して油断してはならないという。世界保健機関(WHO)は、このウイルスがいまだに「人々を入院させたり、死亡させたり」していることから、「軽度」と表現するのは間違っていると警告している。

今のところ、このウイルスは特に攻撃性を強めたり弱めたりするような圧力を受けている状況下にはないが、オミクロンに見られるように、新しい変異株の感染力を高める動機は確かに存在するようだ。

米国では、135万人の新型コロナウイルス感染者が月曜日に報告され、1日の感染者合計数としては世界最高となった。この記録は、コロナウイルス感染者による入院患者数が過去最高となったのと同日に発表された。

サウジアラビアでは、1月第1週のわずか2日間で1日あたりの感染者数が2倍以上に増加したため、当局は公共の場でのマスク着用を再度徹底し、メッカの大モスクではウムラ巡礼者のための予防措置を再実施した。

UAEでは、12月初旬に1日50人程度だった感染者数が着実に増加している。人口1,000万人の同国で、1日の陽性者数は2,500人を定期的に超えており、検査センターを圧迫し、より多くの人がワクチン接種を求めるようになっている。

その他の湾岸諸国では、カタール、バーレーン、クウェートで新型コロナウイルスの1日あたりの陽性者数が1,000人を超えている。カタールでは学校や大学での遠隔授業が再開され、クウェートでは公共のイベントが禁止されている。

サウジアラビアのジザン大学応用医科学部の助教授でウイルス学者のアブドゥラ・アルガイシ博士は、オミクロン株の感染が地域全体で爆発的に増加している状況下であるが、湾岸協力理事会(GCC)諸国ではコロナウイルスの新種に対抗するための効率的なシステムが整備されていると確信している。

GCC諸国では、すべての国でワクチン接種率が70%に達しようとしているか、それを超えているため、ウイルスによる重症化率が低くなっていると同氏は語る。

「GCC諸国の政府は、他の地域よりも新型コロナウイルスの3つの波をうまくコントロールしてきましたが、オミクロンも同じでしょう」とアルガイシ博士はアラブニュースに語った。

「症例数が増え、最終的には死亡者数も多くなるかもしれませんが、GCC諸国においてオミクロンの全体的な影響は他の国よりも低いと予想されます」

アルガイシ博士は、オミクロン株の波は長続きせず、パンデミックの最悪の事態は終わったと確信している。

「私の理論では、この病気は風土病のひとつに格下げされると考えています。つまり、この病気にかかる人が減り、対処するための手段も用意されるため、この病気は脅威ではなくなる、ということです」

現在、試験段階にある『新型コロナ共通ワクチン』」配布は、すべての変異株を排除し、パンデミックからより感染範囲・地域が限定されたエピデミックへの移行を早めるために不可欠であると、アルガイシ博士は述べている。

「私たちはウイルスのある種の変異を予測することが可能です。数年後には『インフルエンザ共通ワクチン』のように、将来出現する可能性のあるあらゆる変異株から私たちを守ることができるワクチンができるかもしれません」

アルガイシ博士は、ワクチン接種率の低い集団から新たなワクチン耐性株が出現し、第5波が発生する可能性も否定していない。しかし、その後の新型コロナウイルスの流行は短いものになるだろうと考えている。

メイヨー・クリニックのケネディ博士は、今後数年間は新型コロナウイルスとその様々な変異を撃退するのに苦労するだろうと警告し、将来についてあまり楽観視していない。

「人類には、このウイルスを封じ込め、根絶やしにする機会がありました。このチャンスはまだ存在するとしても、急速に消滅しつつあります。私たちは今、『SARS-CoV-2』の存在と共存する方法を見つけなければならないのです」と、新型コロナウイルスの学名を使って語った。

先行きが不透明な中、ケネディ博士は、新しいワクチンや抗ウイルス剤、変異株に特化したワクチン、治療法の改善などによる進歩を期待する一方で、大きな後退も予想している。

「人間の性質上、ほとんどの国では、対応がバラバラで断続的、かつ急速に変化しています。このことが、これらの対策の効果を低下させています」

新型のワクチンや抗ウイルス剤による進歩は、猛威を振るうパンデミックに対する不確実性の中で希望を与えている。(AFP)

現実的な問題として、もし海外旅行が再開されても、ワクチン接種率の高い国と低い国との間では、やはり問題が生じるということである。だからこそ、そのためには、開発途上国へのワクチンの配給を改善することが最も重要な課題となる。

「これは世界的な解決策が必要な、世界的な問題なのです」とケネディ博士は言う。「集団免疫、という言葉を使うとき、それは世界的な集団免疫を意味すると解釈しなければなりません。それができなければ、パンデミックは終わりません」

しかし、彼は、国民の多くがこの課題に立ち向かうどころか「論理、事実、常識を無視し続ける」という未来を見ている。

ケネディは、各国の対応は引き続き政治によって左右されるとした上で、「今後は、事実や科学的根拠に基づいて、また感情や世間の認識に基づいて、各国が独自のパンデミック対応を構築していくでしょう」と、強い警戒心を示した。

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