岸田文雄首相は27日、ベトナムのボー・バン・トゥオン国家主席と首相官邸で会談した。「同志国」に日本が防衛装備品の供与などを行う「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みでベトナムを支援していくことを確認。今年、外交関係樹立50周年の節目を迎えたのを機に、両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることで合意した。
首相は共同記者発表で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、これまで以上に連携を強化していく」と強調。覇権主義的な動きを強める中国を念頭に「力による一方的な現状変更の試みに反対し、南シナ海における航行の自由、上空飛行の自由、紛争の平和的解決の重要性について一致した」と述べた。
両首脳の会談は初めてで、40分間行われた。共同声明も発出し、OSAに関して協議することを明記した。OSAはこれまでフィリピンとバングラデシュに対する適用が決まっている。
会談で両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル開発など地域の課題に連携して対処することを確認。サプライチェーン(供給網)の強化や文化交流を進めることでも合意した。12月に東京で開く日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議での協力も申し合わせた。
トゥオン氏は26~30日の日程で来日。29日に国会で演説する。
時事通信