
帝国データバンクは29日、食品メーカーなど主要195社による2023年の食品値上げ品目数が、計3万2396品だったと発表した。
円安を背景にした原材料価格や光熱費などの高騰が主因で、帝国データは「3万品超えはバブル崩壊以後の30年間で例を見ない。記録的な値上げラッシュの1年」(担当者)と総括した。
一方、来年の値上げは最大1万~1万5000品程度と大幅減少を予想。ただ、為替やコスト要因の動向次第で「再度の値上げラッシュを誘発する可能性がある」(同)とみている。
23年の食品値上げはあらゆる分野に及び、22年の2万5768品を約26%上回った。特に、大手各社が冷凍食品などを一斉に値上げした2月と、鶏卵不足でマヨネーズなどの価格が上昇した4月は、それぞれ5000品を超えた。
節約志向の高まりで、消費者が価格の安いプライベートブランドなどに流れる動きも顕在化。販売数量減少へのメーカー側の懸念が強まったことから、年末にかけて値上げペースは鈍化した。
こうした傾向は24年も続くとみられるが、既にオリーブオイルやウイスキーなど3891品について5月までの値上げ予定が判明している。帝国データは、政府の補助金で軽減されている光熱費の今後の負担増に加え、賃上げによる人件費の増加、運転手不足が懸念される「2024年問題」に伴う物流費高騰などが、再び食品価格引き上げにつながる可能性もあると指摘している。
時事通信