
自民党が4月に予定される三つの衆院補欠選挙(4月16日告示、同28日投開票)の対応に苦慮している。派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け「政治とカネ」が争点化し、逆風が必至とみられるためだ。長崎3区か東京15区で候補擁立を見送る「不戦敗論」も浮上している。
3補選は、派閥裏金事件で谷川弥一氏(自民離党)が議員辞職した長崎3区のほか、東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件(買収など)で柿沢未途被告(自民離党)が辞職した東京15区、細田博之前衆院議長の死去による島根1区。
長崎3区を巡っては、茂木敏充幹事長と小渕優子選対委員長が7日、長崎県連会長の古賀友一郎参院議員と対応を協議したが、擁立の結論に至らなかった。
補選の原因となった裏金事件に厳しい批判が予想されることに加え、長崎は「10増10減」で次期衆院選の選挙区定数が1減となるため、仮に補選で勝利したとしても、既に現職がいる他の選挙区との調整が必要になる。党内には「候補は出さなくていい」(自民関係者)との見方が広がる。
東京15区は、2021年にもカジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で現職(自民離党)が実刑判決を受けたいわく付きの選挙区。有権者が政治とカネの問題にとりわけ敏感になることも予想される。茂木氏は「(長崎と東京の)二つ不戦敗はあり得ない」として候補を立てる構えを示すが、擁立作業は難航している。