富岡:国連原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長は20日、福島県で開かれた会合で、廃炉となった原子力発電所で行われている放射性廃液の処理は安全基準を満たしており、福島県産の製品へのいかなる制限も「科学的ではない」と述べた。
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長は、地元関係者や漁業・経済団体の代表者らと会合を開き、排水は「環境、水、魚、堆積物への影響なく」実施されていると安心させた。
火曜日に来日したグロッシー氏は、8月に処理水の放出が始まって以来初めて福島を訪れた。
グロッシー氏は水曜日、原発を運営する東京電力ホールディングスの小早川智明社長の案内で、放流施設とサンプリング施設を視察した。グロッシー氏は7月にIAEAのレビューを発表した後、この原発を訪れた。その後、IAEAの包括的な報告書は、放出は国際的な安全基準を満たしていると結論づけた。
2011年の震災では、福島原発の電力供給と原子炉冷却機能が損なわれ、3基の原子炉がメルトダウンを起こし、大量の放射性廃水が蓄積された。10年以上にわたる浄化作業の後、原発は8月24日に排水を処理し、大量の海水で希釈した後、排水を開始した。
放出開始直後から日本の水産物の輸入を全面禁止した中国を含む漁業団体や近隣諸国は、放出に反対している。
福島第一原発の南側に位置するいわき市での会合で、グロッシー氏は「日本産の魚介類に規制をかける科学的な理由はない」と述べた。
「これは特に、ここ福島でのフォーラムで語られることが非常に重要だ」と述べた。また、「近隣諸国も懸念を表明していることから、この活動には政治的な側面もある」と指摘した。
放水が福島の漁業にさらなる打撃を与えるのではないかという懸念は以前からあったが、国内での評判は落ちていない。中国による日本産水産物の輸入禁止措置は、主に北海道のホタテ輸出業者に打撃を与えた。
政府は1000億円(6億8000万ドル)以上の基金を計上し、補償や他の輸出先を見つける支援策を含む様々な支援を行っている。
グロッシー氏は、”排出は長いプロセスの始まりであり、透明性、技術的な正確さ、そして広く開かれた誠実な対話と協議 ”の重要性を強調した。また彼は、IAEAが福島原発に独自の事務所と研究所を持ち、独立した立場でプロセスを監視していることを強調した。
同氏は、住民との面会は、汚染水放出に関する主要な点を強調するためだけでなく、”皆さんから学ぶため “でもあると述べた。彼は、今後も福島に戻ってくるつもりであり、住民の懸念や要望を聞くことに前向きであると語った。
岸田文雄首相は、ロシアの本格的なウクライナ侵攻に関連した燃料費の高騰や、脱炭素化の目標達成への圧力を受け、以前の脱原発計画を撤回し、原子力発電の利用を加速させている。
火曜日、グロッシー氏は、日本が安定したクリーンな電力源として原子力発電に注目していることから、日本の原子力発電容量を増やすことへの支持を表明した。
同氏は齋藤健経済産業相との会談で、福島第一原発のある新潟県中越地方の柏崎刈羽原子力発電所の運転停止を改善するため、日本に技術支援を申し出た。IAEAと政府は早期の再稼働を望んでいる。
IAEAは今月末に専門家チームを同原発に派遣し、東京電力ホールディングスが国民の信頼を得るための努力を支援する予定だ。
再稼働は受け入れ地域の同意が必要なため、まだ不透明なままだ。近隣の能登地方で1月1日に発生した地震は、安全性への懸念を再燃させた。
AP