自民党の茂木敏充幹事長は1日、安倍、二階両派の政治資金パーティー裏金事件を受けた関係議員らの処分について、党紀委員会(逢沢一郎委員長)に審査を要請した。両派の元幹部や、政治資金収支報告書の不記載などが5年で計500万円以上の39人が対象。岸田文雄首相(党総裁)と、次期衆院選への不出馬を表明した二階俊博元幹事長は含めなかった。
内訳は衆院議員27人、参院議員11人、選挙区支部長1人。党紀委は4日に開く方向で、茂木氏は記者会見で「今週中に処分を決定したい」と表明した。
茂木氏は執行部から党紀委に処分案を提示する意向を示した。不記載が計500万円未満だった議員に対しては、幹事長として注意する考えも明かした。首相が率いた岸田派は元会計責任者が立件されているが、茂木氏は首相自身の報告書に不記載がないことを理由に審査対象にしないと説明した。
党紀委は党所属国会議員12人と弁護士ら6人の有識者で構成する。処分は重い順に(1)除名(2)離党の勧告(3)党員資格の停止(4)選挙の非公認(5)国会と政府の役職の辞任勧告(6)党の役職停止(7)戒告(8)倫理憲章等の規定順守の勧告―の8段階。審査に当たり、本人が求めれば弁明の機会を与えなければならない。処分に不服がある者は、総裁に対し再審査を請求できる。
首相は、安倍派のキックバック(還流)を止めなかった塩谷立・元総務会長と下村博文元政調会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長の4人の責任を重視。全員か一部に対し「離党勧告」を検討している。
安倍派有力議員「5人衆」のうち高木毅前国対委員長、松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長の処分は「党の役職停止」で調整しているが、「非公認」に引き上げる可能性もある。
首相は1日の参院決算委員会で、「きょうも(追加の)聞き取り調査を行っている」と明らかにした。処分に関し「派閥幹部としてどのような役割を果たすべきだったか」も判断材料とする考えを示した。
自民党の石井準一、立憲民主党の斎藤嘉隆両参院国対委員長は1日、国会内で会談し、首相が塩谷氏ら4人に実施した追加聴取の内容について、5日に参院予算委の理事懇談会を開いて報告を受けることで合意した。週内に参院政治倫理審査会の幹事懇談会を開催し、弁明に応じていない29人の扱いを協議することも確認した。
◇党紀委員会の審査対象39人
【衆院議員=27人】
衛藤征士郎、小田原潔、尾身朝子、大塚拓、菅家一郎、塩谷立、柴山昌彦、下村博文、杉田水脈、関芳弘、高木毅、高鳥修一、武田良太※、中根一幸、西村明宏、西村康稔、萩生田光一、林幹雄※、平沢勝栄※、細田健一、堀井学、松野博一、三ツ林裕巳、宗清皇一、簗和生、吉野正芳、和田義明
【参院議員=11人】
岡田直樹、加田裕之、末松信介、世耕弘成、羽生田俊、橋本聖子、堀井巌、丸川珠代、宮本周司、山田宏、山谷えり子
【選挙区支部長】
中山泰秀
(注)敬称略。※は二階派、それ以外は安倍派
JIJI Press