
政府は26日、防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、国際共同開発する防衛装備品の第三国輸出を容認する方針を決めた。当面は英国、イタリアと開発する次期戦闘機に対象を限定するものの、開発相手国を除き輸出を禁じてきた従来の安全保障政策からの大きな転換。紛争の助長につながるとの懸念を踏まえ、厳格な運用を確保する「歯止め策」を設けた。
国家安全保障会議(NSC)を持ち回りで開き決定した。輸出可能な共同開発品は「個別のプロジェクトごとに運用指針に明記する」とし、今回は次期戦闘機のみを記載した。今後、対象を広げる場合は、改めて指針を改定して追加する。
次期戦闘機の輸出先は、適正管理などを義務付けた「防衛装備品・技術移転協定」の締結国(現在15カ国)に限定。「武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国」は除外した。
政府はまた、次期戦闘機輸出の個別案件を決める際も閣議に諮る方針を閣議決定。従来はNSCで決定する事項だが、より重い手続きを踏むことで厳格性を担保した。
次期戦闘機は、日本にとって航空自衛隊F2戦闘機の後継。2035年度の開発完了に向け、開発体制に関する3カ国交渉を本格化させる。木原稔防衛相は26日の記者会見で「わが国の安全保障環境にふさわしい戦闘機の実現を目指し、英国、イタリアとの協議をしっかりと進めていく」と強調した。
防衛装備移転について、政府は22年改定の国家安全保障戦略で、望ましい安保環境創出に向けた「重要な政策的手段」と明記。昨年12月、外国企業の技術を用いて国内で製造する「ライセンス生産」の装備品について、輸出規制を大幅に緩和した。残る論点は、輸出を救難、輸送などの「5類型」に限定したルールの扱いで、自民党は5月にも公明党と協議入りしたい意向だ。
JIJI Press