
モスクワを訪れた外務省の中込正志欧州局長は21日、ロシア外務省でボロビヨワ・アジア第3局長と会談した。日ロ双方によると、プーチン大統領の24年ぶりの北朝鮮訪問を踏まえ、中込氏はロ朝の軍事協力に対する「懸念や憂慮」を伝達した。
ロ朝両首脳は19日、有事の際の相互支援をうたった「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名している。ボロビヨワ氏は、日本側の抗議の試みは「断固容認できない」と反発。同時に、ユーラシア大陸に新たな安全保障構造をつくるプーチン政権の考えを説明した。
中込氏はロシア側に対し、ウクライナ侵攻の即時停止を改めて要求した。北方四島の元島民らによる墓参などの早期再開も働き掛けた。
ロシア外務省はウクライナ侵攻開始後の2022年春、日本との平和条約締結交渉を中断すると発表。プーチン氏は今月、交渉を「継続する条件が今はない」と述べ、対ロ制裁を発動した日本に責任があると主張した。ロシアは今回、日本側が会談を要請したと発表したが、関係悪化の中でも一定の対話を維持する姿勢を示した格好だ。
時事通信