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懐疑的な石油市場が「歴史的」石油協定に判決を下す

新型コロナウィルスが大流行する中、ベネズエラのカラカスのガソリンスタンドで自動車の給油の列に並ぶドライバーたち。(AFP)
新型コロナウィルスが大流行する中、ベネズエラのカラカスのガソリンスタンドで自動車の給油の列に並ぶドライバーたち。(AFP)
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12 Apr 2020 12:04:22 GMT9
12 Apr 2020 12:04:22 GMT9
  • 大幅な減産が世界需要の全面的な崩壊を埋め合わせるのに十分かどうかは依然として疑問。

フランク・ケイン

ドバイ:サウジアラビアを議長とする「バーチャル」G20サミットで、各エネルギー担当大臣を代表として集まった石油生産諸国は、協調減産の数字をドナルド・トランプ米大統領が先週示唆した1,500万バレルに近づけようとしていた。しかし今、懐疑的な石油市場でそれを売却するのが難しい状況に直面している。

1,500万バレルという数字は、サウジアラビアとロシアの主導で復活したOPEC+同盟の1,000万バレルと、米国やカナダ、ブラジルなど、石油輸出国でもあるG20の経済大国による500万バレルで構成される。

しかしコロナウィルスのパンデミックによる世界の石油需要の崩壊に直面し、一部の輸出国はすでにその前例のない減産量が石油価格を再び上昇させるに十分なのかどうか、疑問を抱いている。

金曜は世界の主要石油市場が休みだったが、木曜の遅い時間の取引はOPEC+協定の大筋が分かってきたにもかかわらず、ブレント原油が$32.03と4.79%値を下げた。

S&Pグローバル・プラッツの主席アナリストであるクリス・ミッドリーは、「現在提案されている日量1,000万バレルでは少なすぎるし、遅すぎる可能性があります。4月の生産には限定的な影響しか与えないでしょう。5月から今年の残りの生産に対して減産が維持される場合に限り、タンクがいっぱいになるのを避けられるかもしれません」と述べた。

他の石油専門家たちはさらに一層率直な意見だった。テキサスのエナジー・アウトルック・アドバイザーズのマネージングパートナー、アナス・アルハジは、「トランプはサウジアラビアとロシアに責任を負わせる大きな過ちを犯しました。たとえ1,000万バレル減産したとしても石油価格の低迷が続き、彼はショックを受けるでしょう」と述べた。

しかしOPEC+の減産は同盟の結束を印象的に示した。石油輸出国機構(OPEC)のメンバー10カ国全てが、それぞれの石油総生産量を23%削減することに合意した。全世界の石油供給量から1日あたり600万バレル以上が消える計算である。

非OPEC加盟国も同じ数字の23%減産で合意し、400万バレル近くの減産となる。

OPEC+同盟の両翼を担う最も減産量の多い2つの国が、サウジアラビアとロシアだった。両国は1日あたり1,100万バレルと想定される生産レベルから、250万バレル以上を減産することを提案した。1,100万バレルは妥協による合意を実現するために決められた理論上の量である。王国は今月これまでに1,200万バレル以上を生産している。

1,000万バレルの減産は5月および6月の生産に対して適用され、その後、今年末までは800万バレル、2022年春までは600万バレルの減産となる。

これは石油生産諸国による前例のない約束だった。前後の状況について説明すると、3月初旬のOPEC+会議は150万バレルの追加減産案をめぐる意見の対立で物別れとなり、価格戦争の引き金となっていた。今はその何倍もの減産が、ほぼ満場一致で進められている。

ウィーンで開催されたOPEC+会議は深夜に見せ場を迎え、各国代表者たちが最終的な歴史的協定を達成するために駆け引きする「バーチャル」な茶番劇によって強調された。

原油の大幅な世界的供給過剰への対処を前進させるためにこの会議で必要とされた、サウジアラビアとロシアの関係を改善するという大仕事は、かなり効率的に達成された。

ロシア直接投資基金のキリル・ドミトリエフは、各国代表者たちによる密室での会合がまだ始まっていなかったにもかかわらず、石油史における「歴史的瞬間」を宣言した。「米国と密接に連携している私たちは、世界のエネルギー市場に再び安定をもたらすことができます」と、ドミトリエフはアラブニュースに語った。

しばらくの間は、完全な合意が破綻する可能性もあった流れの中で、あたかもメキシコが協定を妨害しているかのように見えた。メキシコは40万バレルの減産の約束を拒否していた。

しかしトランプとメキシコのロペス・オブラドール大統領の電話会談が伝えられると、メキシコとの間で何らかの取り決めがなされたことが確実視された。

トランプがOPEC+交渉に関与したのはこれが2回目だった。彼はサルマーン国王およびロシアのウラジミール・プーチン大統領とも電話で話し、「エネルギー市場の安定を維持して世界経済の成長を支えるには、石油生産国間の協力が重要なことを強く主張した」と、サウジ通信社は伝えた。

来週始めに再び市場が開いた時、この前向きなムードが石油価格の反発となって反映されるかどうかは、まだ分からない。

OPECのモハンメド・バルキンド事務総長は、パンデミックにより世界のエネルギー市場が直面している困難な課題の大きさを強調した。「石油需給のファンダメンタルズはゾッとするような状況」と、彼はOPEC+会議で述べた。

今年、原油価格は50%以上下落し、世界経済がコロナウィルス前のレベルに戻り始める時期は不透明である。その見通しが立つまでには、OPEC+とG20の大変な努力を必要とする時期が長く続く可能性がある。

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