
感染拡大が続く新型コロナウイルスについて、厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大教授(理論疫学)は15日、人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内では約85万人が重篤患者になり、その約半数が亡くなる恐れがあるとの試算を公表した。
西浦教授は、人工呼吸器などによる呼吸管理が少なくとも必要となる人を重篤患者として予測した。
西浦教授は「試算は新型ウイルスに対して丸腰だった場合の数字。このウイルスは接触を大幅に制限すれば流行を止めることができる」と強調。人と人との接触を8割減らせば、約1カ月で流行を抑え込めるとの見方を改めて示した。
試算は対策を全く取らなかった場合、住民の多くが感染して集団免疫が成立するまで流行が急拡大すると想定。海外のケースを基に、1人の感染者が平均してうつす人数を2.5と仮定した。この場合、重篤患者数は15~64歳が20万1301人、65歳以上の高齢者が65万2066人で計85万3367人となった。
また、対策を全く取らなかった場合、重篤者の49%に当たる約41.8万人が亡くなると予測した。
西浦教授は、人と人との接触の減少幅が65%にとどまれば、感染者が十分に減るまで70日を要すると指摘。緊急事態宣言後も接触が十分に減っていないとの認識を示し、「大変危険だ」と語った。東京都内ではクラスター(感染者集団)が発生しやすいナイトクラブなどは休業したものの、企業活動での接触減が不足しているとして「普通に出勤している状況は心配だ」と話した。