国際原子力機関(IAEA)は9日、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた海洋調査の一環として、福島県沖でアジやタイなどの水産物を採取した。同県いわき市の漁港に水揚げして試料として前処理した上で、IAEAと日本、中国、韓国、スイスの分析機関が個別に放射性物質の濃度を測定。IAEAがそれぞれの分析結果を比較評価することで信頼性を高める。
調査団は今月上旬に採取していたヒラメなどを含む計6種類の魚について、ミンチ状のサンプルを作製して各分析機関へ送る。中国、韓国、スイスは今回、IAEAから第三国研究機関として指名された。
今回のような枠組みでの福島県沖の水産物の採取・分析は昨年も実施している。中国政府は先月20日、処理水放出後に続けてきた日本産水産物の禁輸措置について、IAEAによる監視を拡充し、安全性が確認されれば段階的に輸入を再開する方針を示したが、再開時期は不透明だ。
9日の採取に立ち会った水産庁担当者は「日本産水産物は安全だと確認し、安心して食べてほしい。検査は適切だと外国の方々にも理解してもらえれば」と話した。
時事通信