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感染の新たな波で日本の病院が崩壊の危機

ダイアモンド・プリンセス号の乗客を乗せ、横浜の病院に到着した救急車(2020年2月5日撮影)。コロナウイルス感染件数急増に備え、救急患者の受け入れを断る病院が増えている。日本救急医学会と日本臨床救急医学会は、多くの病院がすでに脳梗塞、心臓発作、外傷で運ばれてくる救急患者の受け入れを拒否しており、すでに救急医療は崩壊しているという。(共同通信/AP)
ダイアモンド・プリンセス号の乗客を乗せ、横浜の病院に到着した救急車(2020年2月5日撮影)。コロナウイルス感染件数急増に備え、救急患者の受け入れを断る病院が増えている。日本救急医学会と日本臨床救急医学会は、多くの病院がすでに脳梗塞、心臓発作、外傷で運ばれてくる救急患者の受け入れを拒否しており、すでに救急医療は崩壊しているという。(共同通信/AP)
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18 Apr 2020 03:04:32 GMT9
18 Apr 2020 03:04:32 GMT9

東京:コロナウイルス感染件数が急増し、救急医療体制が崩壊する中、日本では病人の診療を断る病院が増えている。

最近では、発熱と呼吸困難の症状を持った男性を運ぶ救急車が、80もの病院から受け入れを拒否され、東京の都心部で何時間も男性を診療できる病院を探さなければならないという例がある。また、発熱した別の男性も、40の医療機関に連絡した末、ようやく受け入れてくれる病院が見つかった。

日本救急医学会と日本臨床救急医学会によると、多くの病院が脳卒中、心臓発作、外傷などで運ばれてくる救急患者の受け入れを断っているという。

日本は当初、ナイトクラブ、ジムや人が集まる会場など特定の場所でのクラスター対策により、感染拡大を抑制できているように見えた。だが、最近ではほとんどの患者の感染経路が不明となっており、クラスター対策が感染拡大のペースに追いつけなくなっている。

アウトブレイクは、これまで長きにわたり高度な保険制度と低価格で称賛されていた日本の医療が抱える根本的な欠点を浮き彫りにした。ソーシャルディスタンスに対する一般的な抵抗感の他に、政府の力不足や医療従事者が必要とする防護具不足の広がりが問題だと専門家らは指摘する。

日本には十分な病床、医療従事者、そして器具がない。軽症者を含むウイルス感染者を強制的に入院させたことで、病院は病床およびスタッフ不足に追い込まれた。

日本救急医学会と日本臨床救急医学会は共同声明の中で、医療制度の崩壊の前兆である「救急医療体制の崩壊」は既に起こっていると述べた。病院が患者の受け入れを拒否することで、数が限られた高度または重症患者向け救急医療施設に過度の負担をかけているという。

「通常の救急医療は既に行えなくなっています」と大阪大学の救急専門医である嶋津岳士氏は話す。

防護服、マスク、フェイスシールドが不足しているため、医療従事者のリスクが高まり、コロナウイルス感染症患者の治療が困難になっていると話すのは日本医師会の横倉義武会長だ。

3月に5つ以上の病院から受け入れを拒否された、または20分以上受け入れ先が見つからなかったケースは昨年の700件から931件に増えた。東京消防庁によると、4月に入ってからは、最初の11日間でその数は830件に達したという。同庁のたのうえひろし氏は、感染件数の急増は主に、コロナウイルス感染疑いの場合、検査結果が分かるまで隔離を必要とすることが原因だと指摘している。

多くの病院では感染が確認されたため医療従事者が自宅で自主隔離を余儀なくされ、人手不足をさらに悪化させた。

東京では、3月後半にオリンピックの1年延期が発表された翌日から新たな感染者が一気に増加し始めた。感染件数は速度を上げて増加しており、現在2,595件となっている。患者の多くはまだ入院中で、病院の対応能力は限界に達している。

感染件数1万件、死者170人と、日本の状況はジョンズ・ホプキンズ大学調べでそれぞれ1万人以上と2万1,000人以上の死者が出ているニューヨーク市とイタリアほど悲惨なものではない。

だが、日本のアウトブレイクがもっと悪化する恐れがある。

医師らは疲弊を訴えている。コロナウイルス感染症は診断までに時間がかかるため、病院を訪れる患者が意図せず周りを危険にさらすこともあり得る。医療従事者の組合は16日、政府に対して危険手当や十分な防護具の支給を求めた。

医療従事者らは現在、N95マスクを再利用したり、フェイスシールドを自作したりしている。主要都市大阪は、防護服の代替品として雨合羽の寄付を募った。安部首相はマスク、防護服、人工呼吸器、その他必要器具の増産をメーカーに要請した。

政府のウイルス対策チームは、もし何の予防手段を取らなかった最悪のシナリオでは、人工呼吸器やその他のICU機器不足により40万人以上の死者が出ると警告している。

安倍晋三首相は、政府はこれまでに1万5,000個の人工呼吸器を確保しており、さらにSonyとトヨタ自動車から人工呼吸器製造で協力を得ていることを明らかにした。

日本は10万人あたりのICU病床数が5床と、ドイツの30床、米国の35床、イタリアの12床と比べて少ないと日本集中治療医学会の西田修氏は指摘する。

西田氏は、イタリアの死亡率が10%とドイツの1%に比べて高かったのは、ICU病床数の不足も理由の1つだとし、「ICU病床数がイタリアの半分もない日本は、急速に死亡率が上昇すると考えられる」と話す。

日本では、主にすべての感染者に入院が求められるという理由から、コロナウイルスの検査を制限してきた。だが感染件数の急増を受けて厚労省はルールを緩め、治療を必要とする患者に病床を明け渡すため、軽症患者をホテルに移動させることにした。

東京のような人口の多い都市では、ソーシャルディスタンスを守るようにとの呼びかけは十分届いておらず、首相が緊急事態宣言を発出したにもかかわらず、いまだに多くの人が満員電車で通勤していると専門家は言う。
政府は5月初めの「ゴールデンウィーク」に人々が旅行に出るのではないかと懸念している。

安部首相は17日、「医療現場からは、守れる命も守れなくなるという悲鳴が聞こえています」、「改めて、皆様に外出を自粛するようお願いします」と国民に訴えた。

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