リマ: 日米韓3カ国首脳は15日、ペルーの首都リマで会談し、協力を調整する事務局の設立で合意した。近年の日韓両国の歩み寄りで加速した3カ国の連携を「制度化」し、米国の政権交代後も取り組みを途絶えさせない狙いがある。だが、自国優先の「米国第一」を掲げるトランプ次期米政権の発足は足並みを乱しかねず、日米韓連携は再び試練の時を迎える。
15日、ペルーから遠く離れた韓国・済州島南方の東シナ海で行われた日米韓の共同訓練「フリーダム・エッジ」が3日間の日程を終了した。米空母「ジョージ・ワシントン」、海上自衛隊のイージス艦「はぐろ」など7隻や戦闘機が投入され、約7000人が参加した。
米国で2021年にバイデン大統領、韓国で翌22年に尹錫悦大統領が就任したことで3カ国協力は大きく前進した。昨年8月には岸田文雄前首相を交えた3者が米ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で会談し、「安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」方針で一致。フリーダム・エッジはこの合意に基づき今年6月に初めて開催され、今回で2回目を迎えた。
石破茂首相が出席した15日の日米韓首脳会談の共同声明では、事務局が3カ国の取り組みの「調整および履行に責任を有する」と明記。経済や安保分野の協力強化に向けた調整が想定され、連携継続を担保する組織となる見通しだ。
それでも、政権1期目に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と親密な関係を築いたトランプ次期大統領の存在が影を落とす。トランプ氏は18年、シンガポールでの正恩氏との首脳会談で一方的に米韓合同軍事演習の中止を表明。「取引(ディール)」を重視するトランプ氏が利益優先に走り、同盟国との協力をほごにする可能性は高い。
バイデン氏は15日の会談冒頭、「大きな政治的変化の時を迎えた」と指摘。「今回が私の最後の3カ国会談になるだろう。このパートナーシップを築く一助になれたことを誇りに思う」と語り、連携継続に願いを込めた。
時事通信