
東京: 日本では新型肺炎 COVID-19 の重症患者に対してギリアド・サイエンスズ社のコロナウイルス治療薬レムデシビルを使った治療が始まった。これは数日前に同社が提供する治療薬の寄付を約束したうえで政府が特別に承認したことを受けてのものだ。
COVID-19 の治療薬として日本政府がレムデシビルを認可したのは、5 月 1 日に米国食品安全委員会によってこの抗ウイルス剤の緊急認可が認められたことにならっている。
カリフォルニア州フォスターシティーに本拠を置くギリアド社は当時、「世界的に懸念される爆発的感染による緊急の医療的必要性に対処するため」にレムデシビルを 14 万人の患者の治療に使用できる量である 150 万本寄付する、と繰り返し述べていた。
米国保健福祉省はギリアド社が米国内の病院に対して総数 150 万本のおよそ 40% にあたる 607,000 本のレムデシビルを供給することを約束した、と土曜日に発表。医師たちが割り当てプロセスの透明性に関して疑問の声を上げると、連邦当局はこの静注薬の分配は各州の保健局が行う、と発表した。
ギリアド社はその他の国に対する割り当て計画の詳細は公表していない。同社広報部の野間聖子氏は水曜日おそくに電子メールにおいて、未公表量のレムデシビルが日本政府に対して寄付されたことを認めた。
厚生労働省の佐原康之総括審議官は木曜日に、米国社製の治療薬が 5 月 11 日から日本国内の集中治療室にいる患者や人工呼吸器を必要としている患者に対して使用されている、と電子メールで述べた。
佐原氏によると、同製薬会社によって提供されたレムデシビルの量は公開情報として扱われておらず、世界的な供給量は「非常に限られている」という。
COVID-19 に対して他に承認された治療薬が無い現状、レムデシビルに対する期待は世界的に高まっている。
ギリアド社は火曜日、主に東南アジア、中東、アフリカの低所得国 120 カ国に対するレムデシビルの供給拡大のために、インドとパキスタンの後発薬メーカー 5 社と無償ライセンス契約を結んだ、と発表。
ギリアド社によると、レムデシビルの投与によって呼吸器疾患の患者の症状に進展が見られ、また感染初期に投与されることでその効果がさらに高まることを示すデータを提出した、という。
アメリカ国立衛生研究所によって主導された臨床試験の結果、レムデシビルの投与によって入院患者の退院までの期間がプラセボと比較して 31 % 短縮されたが、死亡率に関しては大きな改善は認められなかった。
エボラ出血熱に対する治療薬としての認可に失敗したレムデシビルは、ウイルスが感染した細胞内で自らの複製を作ることを妨げるよう開発された。
ロイター