
政府が、東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域について、放射線量が基準を下回っている場合は除染をしていない地域でも避難指示を解除できるようにする方向で最終調整に入ったことが3日、政府関係者への取材で分かった。
帰還困難区域がある福島県内7市町村のうち飯舘村は、居住再開に向けて整備を進める「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」以外も含め、2023年春の全面解除を国に求めている。
これを受け政府は、空間放射線量が年間20ミリシーベルト以下▽除染やインフラ整備―などの解除要件は維持した上で、線量が自然減衰し基準以下になった地域は、要望があれば人が住まないことを前提として、除染せずに解除できる枠組みを設ける方針。
菅義偉官房長官は3日の記者会見で、「地元の意見、要望を聞きながら解除要件の見直しも含めて検討したい」と述べた。
政府関係者の1人は「表土を剥ぎ取る除染だけでなく、土を入れ替える『天地返し』や汚染された建物の解体で線量を低減させる方法もあり、短期間でできる」と説明する。
飯舘村は3日、帰還困難区域の住民を対象に説明会を開き、復興拠点の外に公園を整備する方針を説明した。菅野典雄村長は「拠点外は国から方向性が示されておらず、住民は先を見通せない状況だった。線量は基準を下回っており、一歩前に進むための道筋を付けることが大切だ」と理解を求めた。
時事通信社