
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は8日、今後検討を進めるNATOの政治的機能強化策の方向性を明らかにした。安全保障上の課題として、ロシアやテロ組織に加えて対中国戦略を挙げ、「オーストラリアや日本、ニュージーランド、韓国など、考え方が同じ国々とさらに緊密に協力する必要がある」と強調した。
強化策は2030年を目標年に設定。有識者会議での議論を経て、来年の首脳会議で提案する。
ストルテンベルグ氏はオンラインでの演説と質疑で、欧州でも影響力を高める中国について「新たな敵国とは見ていない」と述べた一方、「世界の力のバランスを根本的に変え、経済、技術の覇権争いを激化させている」と指摘。国際ルール維持や、宇宙・サイバー空間などでの新たな基準作りで日本などと連携する必要性を訴えた。
NATOは、フランスのマクロン大統領が戦略連携の欠如を「脳死」と批判したことを受け、昨年12月の首脳会議で政治的機能の強化検討で合意。また対中戦略を初めて課題と位置づけた。
JIJI Press