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紅海とガザの安全保障に「非常に大きな懸念を抱いている」とサウジアラビア外相:WEF

スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラムのパネルセッションで、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相の隣で発言するサウジアラビア外相のファイサル・ビン・ファルハーン王子。(AP)
スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラムのパネルセッションで、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相の隣で発言するサウジアラビア外相のファイサル・ビン・ファルハーン王子。(AP)
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17 Jan 2024 04:01:53 GMT9
17 Jan 2024 04:01:53 GMT9
  • ファイサル・ビン・ファルハーン王子: イスラエルとパレスチナの和平は、中東が抱える多くの課題を解決する
  • サウジアラビアは米「同地域のより良い未来のために」米国と協力し続ける

アラブニュース

ロンドン:スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラムでサウジアラビア外相は16日、紅海での各国船舶に対するフーシ派の攻撃やガザ情勢を受け、地域の安全保障に「非常に大きな懸念を抱いている」と述べた。

ファイサル・ビン・ファルハーン王子は、「不安定な世界における安全保障(Securing an Insecure World)」と題するパネルセッションで、紅海でのエスカレーション緩和が不可欠であり、米英によるイエメンのフーシ派拠点に対する先週の空爆の後も、サウジアラビアは「すべての利害関係者と関わり」続けていくと語った。

「ガザでの戦争との関連は明らか」だが、ガザ紛争には別個に対処することが重要だとファイサル王子は述べた。

「ガザでの戦争に焦点を当てる必要があるが、紅海情勢が理由ではない」と王子はパネルに語った。「ガザ戦争に焦点を当てる必要があるのは、まずはパレスチナ人への影響、そして地域安全保障全般や、さらなるエスカレーション・リスクのためだ」

ファイサル王子は、イスラエルがガザで軍事作戦を開始して以来、3万人近いパレスチナ人が死亡し、人道支援は依然として厳しく制限されているが、イスラエルがその戦略的目標を達成しつつあるという「実質ある兆候を見たことがない」、と述べた。

王子は、国際社会の一部が停戦を求める「方向に一層動いている」と称賛し、両国の和平は「この地域で我々が抱える多くの課題を解決する」と付け加えた。

ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は、戦争を「まったくの大惨事」と呼び、現状からの「唯一の出口」は2国家解決だと繰り返した。

しかし同氏は、「残念ながら、停戦は空から降ってはこない」とし、両国が「進んでそうする」場合にのみ達成できると述べた。

ベアボック外相は、非難の「悪循環」が停戦を妨げているとしながらも、何よりもまず、ハマスが武器を降ろし、ガザに残る人質全員を解放する必要があると主張した。

「答えは交渉によって得られるが、人質の大半がまだハマス(の下に)いることを無視することはできない」

クリストファー・クーンズ米上院議員は、2023年にリヤドで行われたアメリカの上院議員とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下との会談や、テルアビブでのイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との会談、カイロでのエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領との会談などに基づいて、和平は実現できるとの「明るい見通し」を持っていると述べた。

しかし同議員は、ガザ情勢は日々悪化しており、ネタニヤフ首相は2国家解決に反対することで政治的キャリアを築いてきたと付け加えた。

ファイサル王子は、現状を支持できないという主要国間の「明確な合意」に勇気づけられていると述べ、次のように付け加えた。「我々はそれを行動に移す必要がある」

王子は、サウジアラビアは「同地域のより良い未来のために」米国と協力し続けると述べ、パレスチナ人との和平が成立すれば、将来的にサウジアラビアがイスラエルを承認する可能性を示した。

クーンズ議員は、西側諸国で2024年に行われる一連の選挙が、現在の一連の中東危機の情勢に影響を与える可能性を示唆した。

同議員は、イエメンからウクライナまでおよぶ紛争におけるイランの役割を認識する必要があると述べたが、ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウスに復帰した場合に米国がNATOから脱退するという可能性はまったくないと否定した。「米国が防衛条約を批准することはめったにないが、批准したなら守る」とクーンズ議員は語った。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、地域間紛争への懸念の高まりを指摘し、次のように述べた。「アジアで起こることはヨーロッパにとって重要だ」

同氏はまた、イランがウクライナでロシアを支援していること、ロシアに軍事用無人機を納入していること、タタールスタンで無人機や軍需施設の建設を援助していることにも言及した。

しかし、ウクライナの人々が楽観的になれる理由もあると述べ、ロシアが侵攻初期に大きな進展を果たせなかったことを指摘し、ウクライナが黒海を通る穀物輸出ルートを開くことに成功した点を強調した。

フィンランドのエリナ・ヴァルトネン外相は、「最も強い者だけが生き残る」世界になど誰も住みたくないと述べ、フィンランドはロシアによる侵略のせいでNATOに加盟せざるを得なくなったと付け加え、ロシアが「ハイブリッド戦略」を用いて他国からの「第三国市民」をフィンランド国境経由でヨーロッパに追いやっていると強調した。

ナイジェリアのユスフ・トゥガー外相は、安全保障に関するフィンランドの権利について、「ヴァルトネン外相の意見はそのままパレスチナにも当てはまる。彼らにもその権利がある」と述べた。

トゥガー外相は、世界は国際的な安全保障機関のあり方が具体的な変化を遂げるのを目にする必要があると述べ、国際外交の衰退を嘆き、ナイジェリアのような国が国連安保理に参加すべきだと付け加えた。同氏は、国連安保理を「民主化する必要がある。明らかに目的に沿っていない」と述べた。

「ナイジェリアは大きな国だ。アフリカ大陸で最も人口の多い国だ。人口は2億2000万人で、2050年までに4億人になる。国連安保理に入るべき国だ」とトゥガー外相は付け加えた。

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