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エルドアン大統領のサウジ訪問により、両国の協力関係の新たな時代の幕開け

2022年4月28日、サウジアラビアのジェッダに到着したムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。(ロイター)
2022年4月28日、サウジアラビアのジェッダに到着したムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。(ロイター)
2022年4月28日、サウジアラビアのジェッダに到着したムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。(ロイター)
2022年4月28日、サウジアラビアのジェッダに到着したムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。(ロイター)
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01 May 2022 05:05:20 GMT9
01 May 2022 05:05:20 GMT9

メネクセ・トキャイ

アンカラ:木曜日にジェッダで行われたトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とサウジアラビアのサルマン国王の会談を受け、今後緊張した両国関係が劇的に改善されることが予想される。

この雪解けとなる会合は、トルコとサウジアラビア間における2017年以来最高レベルの外交会合となった。この会合は、トルコがサウジアラビアやアラブ首長国連邦との関係を改善するために、ここ数カ月間に実施してきた幅広い外交努力の一部であり、その間両国の経済関係が復活したことや、トルコが地域紛争への関与から手を引いたことが実施の背景にある。今年初め、サウジアラビアは4年間に渡り続けてきたトルコ製品の輸入禁止を解除した。

エルドアン大統領の訪問により、両国は保健、エネルギー、食糧安全保障、防衛、農業、金融の分野で二国間協力を強化することとなった。トルコが持つ新たなドローン技術も、サウジアラビアにとって興味の対象となる可能性がある。

エルドアン大統領は、メッカ州知事であり二聖モスク守護者のアドバイザーでもあるハーリド・アル・ファイサル王子をはじめ、複数名の高官より迎え入れられた。エルドアン大統領はまた、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とも会談を行った。

エルドアン大統領の2日間の訪問は、経済面だけではなく、地域政治面においても新たな時代の幕開けを告げるものと期待されている。つまり、中東地域の危機的な状況に対して、大きな影響力を持つ連合が形成されるのではないかという期待だ。

訪問に先立ち、エルドアン大統領はイスタンブールで記者団に対しこう語った。「私の訪問は、歴史的、文化的、人的なつながりを有する兄弟国として、新たな時代の協力を始めようという共通の思いの表れである。我々は、湾岸諸国の兄弟の安定と安全を、我々自身の安定と安全と同様に重視している。」

訪問初日、エルドアン大統領はこう述べた。「以前とは比較できない程にまで、我々の関係性を高められると信じている。私の訪問は、我々の友人(そして)兄弟であるサウジアラビアとの新しい時代の扉を開くだろう。」

両国の政治的な連携は、シリア、エジプト、イラク、東地中海などの地域問題に関して、トルコに大きな重みを与えることになる。

国防アナリストのウバイ・シャリバンダル氏は、エルドアン大統領の訪問は、安全保障上の共通の利益を持つ自然なパートナーにとって大きな後押しになると考えている。

「トルコの防衛産業は、サウジアラビアという熱心かつ貴重なパートナーを得るだろう」とシャリバンダル氏はアラブニュースに語った。「そして、サウジアラビアが現在行う、イランを後ろ盾とする組織に対するテロ対策について、トルコの防衛分野が持つ様々な先端技術の専門知識や製品は計り知れない価値を持つ。サウジアラビアはトルコからは大きな利益を得ることができるだろう。 」と述べた。

トルコとサウジアラビアの防衛パートナーシップは、2016年にトルコの有数の防衛企業であるASELSANがサウジの防衛企業TAQNIAとKACSTと三者間覚書(MoU)を締結したことで最高潮に達した。

シャリバンダル氏によると、イランの動きを踏まえた上で地域の安定を達成するという共通の利益と理解に基づいて、サウジアラビアとトルコの安全保障協力関係は時間の経過とともに拡大する可能性が高いという。

Al-Sharq Strategic Researchのベトゥル・ドーガン・アッカス・アソシエイトフェローは、今回の大統領訪問は、外交的和解という両国の希望を表しているとみている。

「エルドアン大統領は、サウジアラビア領内でのフーシ派の攻撃について言及し、サウジアラビアを標的として行われた最近のドローン攻撃やミサイル攻撃を非難した。大統領がイエメンでの戦争に関してサウジアラビアを擁護するコメントをしたことは(重要だ)。リビアやシリアの問題について、サウジアラビアとトルコが短期的に再び政治的に協力し合うとは考えられないが、少なくとも何らかの対話的な支援はあるだろう」と、アッカス氏はアラブニュースに語った。

アッカス氏は、両国間で今後協力の可能性がある分野をいくつか列挙した。

「最初の大切な一部分は経済的協力かもしれない。トルコと湾岸諸国では経済を最優先課題としているため、驚くことではないだろう。エルドアン大統領は、主にトルコの建設会社が湾岸諸国に進出・投資することについて言及している」と、アッカス氏は述べた。

エルドアン大統領の画期的と言える訪問を受け、サウジアラビア・ビジョン2030の一環である開発プロジェクトにトルコの建設業界も参加することが期待されている。これは資金繰りに苦しむトルコに湾岸諸国の資本を誘致する相互利益的な手段となるだろう。

2020年、トルコの対サウジアラビア輸出は約26億2000万ドルに達し、一方サウジアラビアの対トルコ輸出(主に燃料製品)は約18億ドルであった。

第二の協力分野は、トルコによるムスリム同胞団への支援の排除に関連する可能性があると、アッカス氏は示唆した。

「トルコが外交政策においてムスリム同胞団との関係について強調しなければしないほど、二国間関係における緊張は緩和されるだろう」とアッカス氏は言う。

トルコとサウジアラビアの和解が、イランに対する共同戦線の形成につながる可能性があることを専門家らは強調している。

「湾岸諸国にとってトルコは(対)イランの相互支援的なパートナーであり、権力と政治的策略のバランスをとることに(貢献してきた)。包括的共同行動計画はその一部であるが、全般的にも、サウジアラビアとトルコはこの増大し続ける脅威に対する協力関係を続けていくだろう」とアッカス氏は述べた。

サウジアラビアとトルコは当初、シリアのアサド大統領に関して異なる立場を取っていた。しかしアッカス氏によれば、両国が協力の可能性がある最後の分野はシリア対応だという。

「中東諸国はシリア政権と関係を正常化する時代に入り、オマーンやUAEもその流れに乗った。アサド大統領を『受け入れる』、あるいはアサド政権との関係を正常化するとなれば、トルコとサウジアラビアの協力関係はこれらの国々を政治的に手助けすることができる」とアッカス氏は述べた。

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