
北朝鮮は7日、スティーブン・ビーガン米国務副長官が、膠着する非核化協議に関する議論のため韓国に到着する数時間前に、米国との対話を早急に再開する意思はないことを再度表明した。
北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国担当局長はまた、北朝鮮国営の朝鮮中央通信を通じて発表した談話を通じ、仲裁者としての役割を失った韓国が、米国と北朝鮮間の交渉の復活を求めていることを「無意味な」ことと批判した。
米国務省によると、トランプ大統領の北朝鮮政策特別代表でもあるビーガン氏は、今週韓国と日本の当局者と会談し、北朝鮮の「最終的で完全に検証された非核化」を含む幅広い問題に関する協力について議論する予定だという。
トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、2018年に乾坤一擲の非核化協議に着手して以来3回の会談を行った。
しかし、昨年2月にベトナムで開催された2回目の首脳会談で、北朝鮮が部分的な非核化と引き換えに要求した、主要な制裁措置の緩和を米国側が拒否して以来、交渉は行き詰っている。
交渉が膠着する中で、北朝鮮はここ数か月にわたり、米国から実質的な見返りが得られない限り、トランプ大統領が外交政策の成果として自慢できる、注目度の高い会談をもはや贈ることはないと再三表明している。
北朝鮮はまた、韓国とのあらゆる協力関係を事実上断ち、国内の南北共同連絡事務所を爆破するなど韓国に対して圧力を強めている。米国主導の制裁に抵抗する姿勢を示さず、北朝鮮の経済復興を支援する共同経済プロジェクトを再開しようとしない韓国に対する最近の不満の表れとみられる。
クォン氏は声明の中で「われわれには米国と対面協議を行う意思がないことを再度明確にする」と述べた。
一部のアナリストは、北朝鮮は当面の間米国との重要な会談を避ける一方、11月の米国大統領選挙後に再度協議を行う際の交渉力を高めるため、韓国に圧力をかけることに注力していると指摘している。
北朝鮮は、米国の大統領が交代する可能性を考慮し、大きな約束や譲歩をすることを望んでいないと思われるという。 クォン氏の発言の数日前には、ビーガン氏が会談再開時のカウンターパートと想定していたとされる、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が、米国が北朝鮮に対して所謂「敵対的な」政策を破棄しない限り、北朝鮮は交渉を再開しないと表明している。 チェ氏はトランプ政権を、北朝鮮との外交を「単なる政治的危機を克服するための道具」としか考えていないとして批判した。
クォン氏は、直接名指しすることを避けながらも、先週欧州各国首脳とのオンライン会議の席上で、トランプ大統領とキム委員長が米国大統領選挙前に再び会談すべきだとの希望を表明していた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を牽制した。
「(チェ氏の)声明ではまた、朝鮮民主主義人民共和国と米国の間を仲裁する意図を再び示した差し出がましい男に言及した」とクォン氏は北朝鮮の正式名称に触れながら述べた。
「(韓国が)が懸命に「仲裁者」になろうと努力しているのを見るのは哀れだが、最後までやりたいという強い願望を大切にしたければ、好きなだけ試せばよい。その努力が成功するか、それとも損失と嘲笑に苦しむだけなのかは、時がたてばわかる」
韓国外務省によると、ビーガン氏は8日に韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談し、9日に日本に向けて出発するという。
AP