
辞任表明した安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選をめぐり、菅義偉官房長官が立候補の検討に入った。関係者が29日明らかにした。複数の派閥幹部から推す声が出ており、出馬すれば有力候補になるのは確実。党内情勢を見極めて最終判断する。「ポスト安倍」候補や各派の動きも本格化した。
今後のスケジュールについて、党執行部は9月13日前後に両院議員総会で新総裁を選出した後、同18日までに臨時国会で首相指名選挙を行い新内閣を発足させる段取りを描いている。
菅氏は29日、首相辞任に関し「ずっと側で支えてきた私としても大変残念だが、国民の命と暮らしを守るために、全力で職責を全うしていく」とブログに記した。首相辞任会見後、菅氏が見解を公にするのは初めて。同日は衆院議員会館などに入った。情勢分析を進めたとみられる。
菅氏は第2次安倍政権発足以降、内閣の要となる官房長官のポストにあった。公明党との関係も良好で、「緊急登板に最適」との声が出ている。
麻生派を率いる麻生太郎副総理兼財務相は28日、周囲に「菅氏が一番収まりがいい」と伝えた。竹下派幹部も「次は菅さんだ」と語った。菅氏をめぐっては、二階派会長の二階俊博幹事長が支持するとの見方がある。
二階氏は29日、大島理森衆院議長、自民党の森山裕国対委員長と東京都内で相次いで会談。総裁選や国会日程をめぐり意見を交わしたとみられる。
立候補を目指す岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長もそれぞれ議員会館を訪れた。政権公約づくりや側近議員との情報交換を進めたもようだ。
一方、麻生派の河野太郎防衛相は29日、訪問先の米グアムでのオンライン記者会見で、出馬に関し「これからしっかり考えていきたい。仲間と相談したい」と述べた。
石原派会長の石原伸晃元幹事長は29日の派閥会合後、記者団に「今回は立候補しない」と明らかにした。下村博文選対委員長、野田聖子元総務相も出馬に意欲を示しているが、立候補に必要な推薦人20人の確保が課題となる。
細田派を率いる細田博之元幹事長と竹下派会長の竹下亘元総務会長は松江市で記者団に、いずれも派閥の結束を目指す考えを示した。両派とも31日に対応を協議する。
JIJI Press