AFP、ベイルート

• レバノンを麻痺させている全国的な抗議活動における2人目の犠牲者

前例のない汚職追放運動に突入してからひと月近く、ベイルート南部で道路を塞いでいたデモ隊を排除すべく軍が発砲した後、男性が銃撃により死亡したとレバノン国営メディアが13日に報じた。

犠牲者は病院で「負傷により亡くなった」とNational News Agencyは報じている。国を麻痺させている全国的な抗議活動において2人目の死者となった。

軍は声明の中で、首都のすぐ南の沿岸の街ハルダにおいて、デモ隊を追い払うために発砲し、「1人を負傷させた」兵士を逮捕したと発表した。

デモ隊はおおむね平和的な運動において、能力が低く、腐敗していると彼らが見なしている多数の政治家を追放することを要求している。

12日夜、ミシェル・アウン大統領が、自分の協力者であるシーア派のヒズボラ運動がレバノン政府で果たしている役割を擁護した後、街中で抗議が起きた。

デモ隊はベイルートや北部のトリポリ、東のベッカー地方周辺の幹線道路を封鎖するという反応を見せた。

ドルーズ派の有力政治家ワリード・ジュンブラートが率いる進歩社会党は、射殺された男性が党員だったと声明で発表した。

ミシェル・アウン大統領と長年対立しているジュンブラート党首は、冷静でいるように支持者に呼びかけた。

「起きたことは起きたことだが、私たちには国家以外に庇護してくれる場所はない。国家の希望を失えば、混乱状態に突入するだろう」

政権は10月29日に退陣したが暫定的な立場にとどまっており、新たな政府を樹立する努力はこれまでのところ見られない。一方で、経済危機のために国は債務不履行の瀬戸際にある。

12日朝、数十人の抗議活動家がベイルート中心部の裁判所付近に集まり、司法の独立を求めながら判事や弁護士の登庁を阻止しようとした。

モバイル大手AlfaとTouchの2社の従業員は全国的なストライキを開始した。

多くの学校や大学が閉鎖された。先週、銀行の従業員が顧客から不当な扱いを受けたとしてゼネストを求め、銀行も閉鎖された。

ヤン・クビシュ・国連レバノン特別調整官は、「レバノンの国際的なパートナーの支援を求める」ことのできるような新政府の樹立を急ぐように求めた。

「財政や経済の状況は深刻であり、政府や他の当局は問題に対処するのをこれ以上延ばすことはできない」と調整官は述べた。

リーダー不在の抗議活動は当初、無料電話アプリを使った通話への課税案が出された際に巻き起こった。しかしその後、国家的汚職の発覚からひっきりなしに起きる停電まで、すべてに対する前例のない、党派を超えた非難へと姿を変えた。

デモの参加者は、1975～1990年の内戦終結後に、同じ一族が政府機関の要職を占めていることにうんざりしていると語っている。

12日のテレビ演説において、アウン大統領は技術官僚と政治家を含んだ政府を提案した。

「テクノクラート政権は国の政策を決められないし、人民を代表する」こともない、とレバノンのテレビのインタビューで大統領は語った。

「新政府にイランの支援を受けたヒズボラを参加させないようにとの圧力を国外から受けているか」と質問されると、大統領は否定した。

しかし、と彼は続け、「少なくともレバノン人の3分の1の代表である党を私に取り除かせることはできない」と述べた。シーア派コミュニティの存在感に言及したものだ。

レバノンの直近の危機は、イランと米国の緊張が高まる中で訪れた。米国はレバノンのヒズボラ構成員に制裁を課している。

レバノンでは通常、宗教コミュニティ間の微妙なバランスをとる最良の方法について議論が長引き、新政権樹立に数か月を要する。

世界銀行は、レバノン人の3分の1程度が貧困層であり、組閣を急がないと苦闘する経済状況のさらなる悪化が予測されると警告している。