
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言の責任を取り、辞任する意向を固めたことについて、経済界からは11日、「辞任は当然」(スポンサー企業)との声が出た。ただ大会への影響を懸念する声は収まらず、動揺は続いている。
辞任報道について、スポンサーを務める日本郵政はコメントを発表。「オリンピック・パラリンピックの精神に反する発言をされたことから、やむを得ない」とした。
延期された大会の開催が危ぶまれる中、新型コロナウイルスの影響で経営難の会社も含め全スポンサー企業が契約を延長し、220億円の追加協賛金の拠出を決めた。「社員一人一人が懸命に働いて得た資金」(別のスポンサー企業)だけに、株主や社員の理解を得るためには辞任はやむなしと受け止めている。
事態の早期収拾に期待する声もあるが、大会開催には感染対策との両立という難題が待ち受ける。あるスポンサー企業は「関係者が安全・安心な大会の実現に向けて検討や準備を進めている大事な時期。そうした取り組みに何らかの影響があるのではないか」と懸念する。
一方、「辞任ですべて解決するわけではない。多様性と調和、ジェンダーの平等を日本が実践できていることを示さないといけない。トップが代わったからと言って、劇的にイメージが変わるわけではなく、組織委とスポンサーが協力して信頼の回復に努めていくしかない」との意見もある。
発言をめぐっては、最高位のスポンサーを務めているトヨタ自動車が10日、豊田章男社長名で「トヨタが大切にしてきた価値観とは異なっており、誠に遺憾」とするコメントを発表。グローバル企業を中心に批判が強まっていた。
JIJI Press