カルドン・アザーリ

東京：駐サウジアラビア日本大使として新しく任命された岩井文男大使は、中東地域での長い勤務経歴を有しており、今回中東地域に戻ってこれることを楽しみにしていると述べた。

「アラビア語の話者として、中東諸国での勤務経験が長く、2008年から2011年までリヤドの日本大使館で勤務していました」とアラブニュース・ジャパンに語った。「サウジアラビアでの最後の勤務から約10年が経ちましたが、最近のサウジアラビア社会における変化や発展を感じ体験することを楽しみにしております。」

「日本とサウジアラビアは地理的に離れており、宗教も異なりますが、伝統と近代が融合した社会を発展させてきたという点で、文化的背景が似ていると感じています。」

岩井大使は、サウジアラビアと日本の人々は、自身や状況をより良いほうに方向に進めるという日本の「カイゼン」という概念に親和性があると考えていると述べた。そして岩井大使は、サウジアラビアの生徒が日本人の生徒のように教室をきれいに掃除していることに触れた。

2016年9月にムハンマド王国副皇太子、2017年3月にサルマン国王陛下が来日したことを受け、両国の絆をより強固なものにするため、「日・サウジ・ビジョン2030」が立ち上げられた。

岩井大使は、両国が連携しているプロジェクトが31件から81件に増えたことに触れ、「両国の人々にとってお互いの理解を深めることが重要」と述べた。また、岩井大使は、省エネ型海水淡水化システムの実証事業の開発や「SAUDI ANIME EXPO」、さらに東京大学とミスク財団との間で締結された学術分野におけるムハンマド・ビン・サルマン未来科学技術センターの設立に関する覚書についても言及した。

「近年二国間協力がより幅広い分野において、より深く行われており、二国間協力が日本とサウジアラビアの架け橋となっていることは心強いことです。両国の魅力をＰＲし、二国間協力体制のさらなる強化を目指します」と岩井大使は述べた。さらに、「先日、ムハンマド皇太子殿下が発表された『THE LINE』をはじめとするNEOM開発計画など、サウジアラビアの重要な国家開発プロジェクトへの日本の貢献を実現するために、全力を尽くします」と述べた。

日本は原油の約4割をサウジアラビアから輸入しているため、サウジアラビアや中東の平和と安定は日本の安全保障に直結する。

岩井大使は「日本の安定と繁栄のためには、サウジアラビアからの原油の安定供給が不可欠です」と指摘した。「日本国民はそのことに対し深く感謝していますが、両国が原油取引以外にも様々な新しい分野で協力を進めていることも喜ばしいことだと思います」と加えた。両国は、持続可能な循環炭素経済（CCE）の構築を目的として、世界で初めて天然ガスを用いたブルーアンモニアの供給ネットワークの実証実験を進めている。さらに医療分野では、日本の大学がサウジアラビアの医師を受け入れて研修を行っている。

岩井大使はまた、サウジアラビアの影響力が高まっていることにも言及した。「私の印象としては、サウジアラビアはアラブ・イスラム圏において二聖モスクを擁する大国であり、G20の一員として国際社会に影響力を持っています。また、G20リヤド・サミットの成功について、サウジアラビアに対し敬意を表したいと思います。新型コロナウイルスの世界感染拡大に取り組むためには、国際社会の協力が不可欠です。サルマン国王陛下の発意を受けて、日本は、開発途上国における保健医療体制の強化とワクチンの公平なアクセスの確保に取り組んでいます。これには、中東・北アフリカ地域に対する約1億2,200万ドルの政府開発援助（ODA）の提供も含まれています」と述べた。岩井大使はまた、サウジアラビアの観光分野における進展について称賛した。

最後に岩井氏は、サウジアラビアが「ウラー宣言」で隣国カタールとの平和的関係を回復したことを称賛した。「前回のGCC首脳会議で調印された『ウラー合意』に向けたサウジアラビアの取り組みに敬意を表したいと思います」と述べた。「湾岸諸国の良好な関係がさらに促進され、サウジアラビアや中東に関心を持つ多くの日本人が安心して訪れることができるような環境が整うことを切に願っています。」