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日本で五輪が近づく中、ワクチン接種はゆっくり進行

世論調査によると、日本国民の4分の3がワクチン接種は遅いと考えており、6割が接種計画に不満があると答えている。(AFP)
世論調査によると、日本国民の4分の3がワクチン接種は遅いと考えており、6割が接種計画に不満があると答えている。(AFP)
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23 Apr 2021 06:04:40 GMT9
23 Apr 2021 06:04:40 GMT9

パンデミックが始まって以来、最大の国際イベントである五輪の開催を3カ月後に控えた日本では、慎重でなかなか進まないワクチン接種計画の下、完全に接種を済ませた人は全人口の1%にも満たない。

五輪の主催者や地元の関係者は、ワクチンは五輪の必須条件ではないと強調している。参加者は到着前にワクチン接種を受ける必要はなく、日本の選手やボランティアに優先的に接種を行う予定もない。

しかし、世界第3位の経済大国でワクチン接種が遅れているのは、専門家によれば、慎重さと凝り固まった官僚的規制が混在しているからであり、世論に重くのしかかり始めている。

政府はワクチンに対する信頼を高めるために慎重さを強調している、と山岸敬和氏は話す。同氏は南山大学国際センター長で、医療政策を研究している。

しかし、他国ではワクチン接種が迅速に行われているのを見て、「ワクチン接種のプロセスの遅れによって五輪開催が難しくなってきていることに気付いている人が増えている」と同氏はAFPに語った。

このことにより、「五輪に対する支持率が低下する」可能性がある。

日本人の大多数は既に今夏の五輪開催に反対しており、今年総選挙を控えている菅義偉首相は、コロナ対応をめぐり、数ヶ月間プレッシャーを掛けられている。

日本ではこれまでのところ、コロナウイルスの流行は比較的小規模で、死者は1万人以下だ。

しかし、東京を含むいくつかの地域は今週、新たな緊急事態宣言の発令を要請した。感染者が新たに増加し、一部地域の医療制度が既に崩壊していることを受けたものだ。

保健専門家4人が今月、「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に寄稿し、いくつかある要因の中で、日本の「遅々として進まないワクチン接種」を挙げ、五輪を開催する計画を、「緊急を要する問題として再考する」よう求めている。

世論調査によると、日本国民の4分の3がワクチン接種は遅いと考えており、6割が接種計画に不満があると答えている。

五輪主催者は、ワクチン接種のペースは大会に影響を与えないと主張している。

東京2020のCEOである武藤敏郎氏は21日、記者団に対し、「ワクチン接種をしなくても五輪は開催できるだろう」と述べた。

「もちろん、ワクチンが使えれば良いだろう。だが我々としては、ワクチンに関係なく、五輪を開催できるようにコロナ対策を徹底する」と話した。

国際オリンピック委員会は選手にワクチン接種を奨励しており、接種の機会が限られている国のチームのために、中国製ワクチンを確保している。

いくつかの国は、既に自国のチームにワクチンを接種したか、接種する予定だと言っている。

しかし、日本の政府関係者は、同様の措置を講じる計画はなく、一般の人々に接種を拡大する予定もまだ決まっていないと言っている。

政府はアストラゼネカ、ファイザー、モデルナと、1億2500万人の住民をカバーするのに十分な量のワクチンを契約しているが、これまでのところファイザーのワクチンしか承認していない。

2021年4月21日、長野県北相木村で、医療従事者がファイザー/バイオンテックのワクチンを、高齢女性のヤマグチカキノさん(左)に接種する。(資料写真/AFP)

ワクチン接種は2月に医療従事者を対象に始まり、つい先週、高齢者に拡大された。

専門家によると、ワクチン接種に慎重になっているのは、部分的には過去のワクチン論争の影響だという。ワクチンは国際試験に加えて現地での試験が求められるなど、厳格なルールが定められている。
供給に影響する輸出制限に対する懸念もあり、日本はかなりの量のワクチンを備蓄した後に接種を行っている。

日本はこれまでに欧州から1700万回分以上のワクチンを受け取っているが、1回目の接種を受けた人は約150万人、完全に接種を済ませた人は82万7000人強だけだ。

「日本では、平等であることが重要視されている」と国際医療福祉大学の和田耕治教授は話した。

「例えば、災害時に1万人が必要としているものが9000個しかなかったら、提供しない自治体もあるだろう」と同氏はAFPに話した。

日本は9月までに16歳以上の全ての人の分のワクチンを確保すると言っているが、接種が行われる時期は不透明だ。

モデルナとアストラゼネカのワクチンの承認は早くても5月以降になる見込みで、医師と看護師だけがワクチン接種を行えるという規則など、他の課題もある。

この遅さでは、数千人の五輪ボランティアやサポートスタッフを含む日本の人々は、選手が日本にやってくるまでにワクチン接種を受けられない可能性が高くなる。

海外の観客の入場は既に禁止されており、五輪会場に入れる国内の観客の人数は、無観客ではないとしても、6月まで決まらない可能性がある。

はっきりしていることが一つある。開会式に間に合うように集団免疫(ウイルスの拡大を止めるために必要な閾値)を獲得することは、もはや選択肢の一つではない。

「遅すぎる」と山岸氏は言った。

AFP

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