
オンライン形式で2日間にわたり開かれた先進7カ国(G7)気候・環境相会合は21日夜、共同声明を採択し閉幕した。声明は「2021年末までに、国際的な石炭火力事業への直接的な政府支援を完全停止するための具体的な措置を講じるよう約束する」と明記。新規の石炭火力発電所の輸出について、各国政府が融資などを行わない方針を打ち出した。ただ、国内の石炭火力を全廃するよう求める文言は盛り込まれなかった。
30年代の電力システムの脱炭素化に向け、各国が技術開発や政策を推進していくことでも合意した。
議長国の英国は、脱炭素化の実現に向け石炭を含む化石燃料からの脱却を主張。一方、日本は今後も高効率な石炭火力発電の途上国への輸出や利用を続ける方針で、厳しい交渉を迫られた。
20、21両日の会合には日本から小泉進次郎環境相と梶山弘志経済産業相が参加。石炭火力の撤廃や、途上国への石炭火力輸出の停止といった化石燃料の使用抑制に加え、再生可能エネルギーの一層の普及などを議論した。生物多様性の保全や海洋プラスチックごみ問題などもテーマとなった。
国内の発電は19年度の実績で、石炭などの火力が全体の約76%を占め、再生エネは約18%にとどまるなど「化石燃料頼み」の状態が続く。菅義偉首相は先月、国内の温室効果ガス排出を30年度に13年度比で46%削減する目標を発表。現在、政府はこれを裏付ける新たな電源構成を含めた次期エネルギー基本計画の検討を進めている。
共同声明では、生物多様性の損失を食い止めるため、30年までに世界の陸地と海洋のそれぞれ少なくとも30%を保護区域などに指定して保全することも確認した。
JIJI Press