• リビアはアフリカ・中東の戦争や貧困から逃れてきた移民の主要経由地となっている
• 密入国あっせん業者は、家族らをゴムボートに押し込み地中海中央のルートを航行するが、頻繁に立ち往生し、沈没している

カイロ：リビアからの不法移民の流れを食い止めるためには、リビアの暫定政府が南側の国境を管理することが優先課題であると、リビアの暫定外相が金曜日に述べた。

ナジャ・アル・マンクーシュ外相は、同日リビアを訪問していたイタリアのルイージ・ディマイオ外相、マルタ共和国のエバリスト・バルトロ外相、欧州委員会の近隣拡大部門よりオリバー・バルヘリイ氏、そしてリビアのアブドルハミド・ドベイバ首相らとの会談後の記者会見で、このように述べた。

同外相は、「すべての問題は南部から始まっている」と述べ、リビアがこの問題に取り組むためにはEUからの追加の協力が必要であると付け加えた。

2月に新暫定政府が発足して以来、欧米の上級外交官は相次いでリビアを訪問している。彼らは2021年12月の総選挙後も政権を担うことが期待されているリビアの新政権に信頼を置いている。

欧州各国首脳の多くは、新政権が前政権よりも効果的な策を打ち出して、移民がリビアに入国し、同国を横断し、そして欧州に向かう際に使われる密入国ルートを断ち切ることを期待している。イタリアをはじめとする欧州各国政府は、移民問題への対応について国内で批判を受けている。

イタリアのディマイオ外相は、「短期的な戦略と長期的な戦略の両方を採用することで、不法移民対策や水際での監視に関するパートナーシップを強化する方法について話し合った」と述べた。

2011年に長年の独裁者であったムアンマル・カダフィがNATO軍の支援を受けた反カダフィ勢力により殺害されて以来、リビアは長年にわたる紛争と混乱の中にある。この反乱により、石油資源の豊富なリビアは、国連の支援を受けた首都トリポリの政府と、東部を拠点とする反対勢力との間で分裂した。両者は、武装グループや外国政府の支援を受けていたが、10月の停戦により暴力行為はほぼ停止し、また、すべての外国人傭兵が退去することが規定された。

約10年前から、戦争で荒廃しリビアは、アフリカ・中東の戦争や貧困を逃れ、ヨーロッパへの移住を求める移民の主要な経由地となっている。密入国あっせん業者は、必死に移住を求める家族らを装備不十分なゴムボートに詰め込む。そのゴムボートは地中海中央の危険なルート上で立ち往生し、浸水沈没する。

近年、EUはリビアの沿岸警備隊や地元のグループと協力し、このような危険な航海を食い止めようとしている。しかし、権利団体によると、このような政策では、移民は海で溺れるかリビアの武装集団の手中に落ちるかのどちらかであり、結果的には多くの移民が虐待に満ちた不潔な収容所に監禁されることになるのだという。

国際移住機関の「Missing Migrants project」によると、今年に入ってこれまでに少なくとも612人が地中海で死亡または行方不明になっていることが分かっているという。これは、昨年同時期の死者・行方不明者数が278人であったのに比べると大幅に増加している。比較的暖かい夏の時期には、海を渡ろうとする人が増えるケースが多い。

AP通信